■ 通り過ぎゆく花たち(4) 《柳、楓、青木》
●本シリーズの第4弾は、比較的よく知られた樹木だが、その花についてはあまり知られていないものを取り上げたい。
●これらの花は、しっかり見れば直ぐに見つかるが、色が非常に地味であったり、花という認識が薄かったりで、見過ごされることが多い。
柳にもちゃんと緑の花が咲く
川端に芽吹く柳の風やわし
花街の柳の花の慎ましき
柳は、ヤナギ科ヤナギ属の樹木の総称で、一般的には枝垂柳をさす。原産地は中国で、奈良時代に渡来したとのこと。
古くから庭園樹や街路樹としてよく用いられており、これを題材とした歌や詩も多い。
柳の語源については、この木で矢を作ったので「矢の木」といい、 「やのき」→「やなぎ」へと変化したとする説が有力だが異説も多い。、枝垂柳は、別名で「糸柳(いとやなぎ)」ともいう。
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ちりちりとちりのごとくにもみじさく
花かえで遠慮深げに咲きにけり
風よ吹け楓の花のちちろちろ
楓は、植物学的には、カエデ科カエデ属の木を総称している。(「もみじ」という科や属は存在しない。)原産地は東アジア、ヨーロッパ、北アメリカなど。
花期は4月~5月。風媒花なので、虫を呼ぶための大きな花をつける必要はなく、花弁は目立たなく小さい。
果実は、片翼の翼果が二つずつ(稀に三つのこともある)種子側で密着し、プロペラのような姿でつく。
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密やかに咲くや青木の十字花
忍者では?陰に手裏剣花青木
青木は、ミズキ科アオキ属の常緑広葉低木。日本原産で暖地の森林に自生する。葉も茎も一年中緑(青)であることから「青木」という名前がついた。
日陰や寒いところででもよく育ち、公害にも強いので、日当たりの悪い場所の庭園樹として重宝がられている。
雌雄異株で、3月~5月に、それぞれ赤褐色の4枚弁の雄花、雌花をつける。(色や形が忍者の手裏剣に似ている。)
雌株は11月から3月にかけて楕円形の赤い実を結ぶが、近くに雄株がない場合は結実しない。従って、果実についても見たことがないという人が意外と多い。
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▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ おしまい