■ 姫百合の真っ赤く咲きぬ静けさよ
( ひめゆりの まっかくさきぬ しずけさよ )
姫百合(ひめゆり)という花の名前は、「ひめゆりの塔」という映画のタイトルなどから知っていたが、実際に見たことがなかった。先日行った植物園で、その姫百合が咲いているのを思いがけなく見ることができ、その花の可憐さに心が奪われた。
ただ後に、「ひめゆり学徒隊」について調べたところ、名前についた「ひめゆり」は、花の「姫百合」とは無関係だということが分かった。
学徒隊を構成する沖縄師範学校女子部の校友誌名が「白百合」で、沖縄県立第一高等女学校のものが「乙姫」だったが、両校が併設されることになり、それぞれから一部をとって校友誌の名前が「姫百合」になったそうだ。そしてそれが学徒隊の名前にもなったとのこと。
これが事実だとすると、上句を詠んだ時のイメージと少し異なってくる。そのため上句を残すかどうか迷ったが、「姫百合」の可憐な花のイメージが、若くして犠牲となった「ひめゆり学徒隊」とも重なるところもあり残すことにした。
女子学徒隊は、他にもいくつかあったようだが、それにしても、終戦間際の沖縄戦における悲劇は余りにも酷く悲しすぎる。
姫百合は、ユリ科ユリ属の多年草。原産地は、日本または朝鮮半島で、本州の東北地方南部から沖縄にかけて分布。茎先に1輪から5輪の花がつき、上向きに咲く。 花の色は朱紅色で、濃い赤褐色の斑点がある。花期は6月~7月。
以下に、たまたまネットで見つけた姫百合の句と歌を掲載する。
【参考句・歌】
姫百合に筒の古びやずんど切 (夏目漱石)
夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものぞ
(坂上郎女:さかのうえいらつめ):万葉集