■ 大文字山登山 三句(連作もどき)
○ せせらぎを聞きつ登りぬ冬の山
( せせらぎを ききつのぼりぬ ふゆのやま )
○ 頂上や眼下にも見ゆ冬紅葉
○ 頂上や眼下にも見ゆ冬紅葉
( ちょうじょうや がんかにもみゆ ふゆもみじ )
○ さあ下山膝も笑うよ落葉道
○ さあ下山膝も笑うよ落葉道
( さあげざん ひざもわらうよ おちばみち )
標高が僅か466mの小高い山だが、若い時は忙しくて登れなかったが、歳をとると体力に自信がなくなり、登ることを躊躇ってきた。
ただ、最近は写真を撮ったり、俳句を詠んだりで歩くことも多くなり、登れるかどうか試してみようと思い立って登った。
本日の掲句は、その時のことを連作風に詠んだものである。
第一句は、登山口からゆっくり登り始めると、道に沿って小川が流れていて、山からの水のせせらぎが聞こえてきたことを詠んだ。季語はちょっと安直だが「冬の山」とした。
歩くこと40分(通常所要時間20分から30分とか)。大文字山は「五山送り火」で「大」の字の篝火を焚くことで有名だが、その点火地点に辿り着いた。そこで詠んだのが第二句である。
尚、「頂上や」は、原石鼎の「頂上や殊に野菊の吹かれ居り」から引用したもの。
思ったよりも時間がかかったものの、何とか頂上の三角点を確認できたが、そこからの眺望はあまり良くなかったので直ぐに下山の途についた。
第三句は、そのことを詠んだもの。さすがに、登山道には落葉が沢山落ちており、うっかりすると滑って転んでしまう。慎重を期しながら歩き、何とか無事に登山口まで下りることができた。季語は「落葉道」。