■ 着ぶくれてボートで遊ぶ乙女たち
( きぶくれて ぼーとであそぶ おとめたち )
そこで、植物の果実などもよく取り上げるのだが、この方は赤い実が多く、取り上げても単調になりやすい。
そんなこともあり、ひっきょう植物以外の題材を求めることになるが、時節柄よく見かけるのが水鳥。
そう言えば、鴛鴦(おしどり)が渡ってきているのではないかと思い、先日の午後、「宝ヶ池公園」に行ってきた。
しかし、池を一周するも見ることができず完全に当てが外れた。売店の方に聞くと朝方には来ていたとのこと。日を改めて再度来ることにした。
ところで、鴛鴦は見れなかったものの、宝ヶ池の景観は、いつ見ても素晴らしい。池を囲む小山は盛りを過ぎたとは言え、美しい冬紅葉を湛えている。
池の面は平らかで、微風による幽かな波紋が見受けられ、そこに紅葉の山影を映し出している。
そんな情景をぼんやり歩きながら眺めていると、遠くにボートが一艘浮かんでいるのが見えた。よく見ると女性が二人。多分京都に観光で訪れた学生だろう。
尚、下五については「二人連れ」とすることも考えたが、恋人同士がイメージされ、実際見たものとかなり印象が違ってくるので「乙女たち」とした。
【関連句】
① 着ぶくれてふくら雀と出会いけり
② 着ぶくれて不動の青鷺見ていたり
②は、岸辺でじっと立って動かない青鷺を見て詠んだ句。この頃の青鷺は仙人のような風格がある。
【着ぶくれの参考句】
心まで着ぶくれをるが厭はるる (相生垣瓜人)
百貨店めぐる着ぶくれ一家族 (草間時彦)
文化財中住みて見られて着ぶくれ子 (鍵和田釉子)
着ぶくれを一時預けに搭乗す (井村育子)
村人も祢宜も着ぶくれ神祀る (小野久仁子)