■ 突風に栴檀の花は散らずあり
( とっぷうに せんだんのはなは ちらずあり )
というのは、栴檀の木は高木で、白い小さい花を密集させて咲かすのだが、それが頭上高くにあるため、気づかないことが多い。
本日の掲句は、その木が鴨川の河畔に植えてあり、突風にもめげず花を満開に咲かせているのを見て詠んだ句である。
尚、「栴檀の花」は夏の季語。「栴檀の実」は秋の季語。
実のところ、花を見たのは2週間ほど前で、先日確認したところ、既に全部散っていた。
ただ、花が非常にユニークな形をしているので、遅ればせながら今日投稿することにした。
因みに、過去には以下の句を詠んでいる。
見上げみる栴檀ことに芳しき
前述したように、花は高いところにあるため気づきにくいが、仄かに甘い香りを放つ。その香りで花が咲いていることに気づいて詠んだのがこの句である。
尚、、「栴檀は双葉より芳し」という諺があるが、ここで挙げられた「栴檀」は香木で知られている「白檀(びゃくだん)」のことで、本日紹介のものとは別の種類のものだそうだ。
栴檀(せんだん)は、センダン科センダン属の落葉高木。原産地は日本、東アジアで関東以西に分布。花は、薄紫色の小さな花で、紫色の雄しべが雌しべの周りを筒状に囲んでいるのが特徴。花期は5月下旬から6月初旬。
名前は、秋に実が枝一面につき、落葉後も木に残るさまが数珠のように見えることから「センダマ」(千珠)の意でつけられたそうだ。(下写真参照)別名に楝=樗(おうち、あうち)、アミノキがある。
*栴檀の実(昨年12月撮影)
俳句では、「栴檀の花」の他、「樗(楝)の花」、「花樗(楝)」で詠まれることも多い。以下には、そのいくつかを選定して掲載した。(過去に掲載したものは除く。)
【栴檀の花等の参考句】
きのふけふ樗に曇る山路かな (松尾芭蕉)
咲きそめし樗も淡し潮ぐもり (阿部ひろし)
栴檀のありあまる花こぼさざる (鷹羽狩行)
花樗霧吹く如き盛りかな (西村和子)
渾身の日々はたまゆら樗咲く (手塚美佐)
花樗霧吹く如き盛りかな (西村和子)
渾身の日々はたまゆら樗咲く (手塚美佐)