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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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行く春や犬ふぐりまだ元気なり

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■ 行く春や犬ふぐりまだ元気なり
                                       ( ゆくはるや いぬふぐりまだ げんきなり )

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犬ふぐり」と言えば、春を告げる野草の一つであり、2月の中頃に以下の句を詠んだことがある。

 野にも出よ早も元気に犬ふぐり

その「犬ふぐり」が、先日行った植物園では、まだ所々に繁茂しており、あの透き通るような青い花を咲かせていた。

本日の掲句は、もう春も終わろうとしているのに、まだ咲いているのだなという感慨を持って詠んだ句ある。

尚、本句は、「行く春」「犬ふぐり」ともに春の季語の季重なりの句。それを意図しての句でやむを得ない。

ところで、「犬ふぐり」の「ふぐり」とは、ご承知の方も多いと思うが、「陰嚢(いんのう)」、すなわち「雄の睾丸(こうがん)を包む袋」のことである。

「犬ふぐり」の果実が、その陰嚢の形に似ているから、この名が付けられたと言われるが一体どんな形をしているのか。

                                                                                    
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見たことがない人もいると思うので、今回写真に撮ってきた。右の写真がそれで、敢えて自分の指も少し写しているが、米粒よりも小さいものが二つ並んでいる。

  大犬のふぐりといえど小さかり

確かに形は似ているが、在来種の「犬のふぐり」の果実の方がもっとよく似ているそうだ。命名者は有名な植物学者:牧野富太郎氏。

*「大犬のふぐり」は、在来種「犬のふぐり」の外来種で、花が大きいことから「大」が付けられた。「犬ふぐり」という名称は主として俳句で用いられる。


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因みに、「犬ふぐり」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

   【関連句】
    ① 街路樹の下に咲いたか犬ふぐり
    ② 別世界星の瞳に見ゆるかも

①は、街路樹の根元の狭い地面に、懸命に咲いているのを見て詠んだ句。
②は、「ふぐり」を嫌った別称に「星の瞳」があることを知って詠んだ句。少女マンガにでも出てきそうな名前だが、あまり流行らない。


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オオイヌノフグリは、オオバコ科クワガタソウ属の越年草。ヨーロッパ、西アジア原産。明治時代に渡来し帰化。花期は3月~5月。

近縁種にイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、フラサバソウがあるが、まだ判別できていない。別名に「瑠璃唐草」「天人唐草」「星の瞳」など綺麗な名前もあるそうだが、なぜか流行らない。


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「犬ふぐり」を詠んだ句は結構あり、以下にそのいくつかを掲載した。(但し、過去に掲載したものを除く。)

   【犬ふぐりの参考句】
    花一つ一つ眼ざめて犬ふぐり     (深川正一郎)
    犬ふぐり藍より青き日を返す     (石塚友二)
    跼みたるわが影あふれ犬ふぐり   (深見けん二)
    犬ふぐり一つ見つけて百花ほど   (佐々木六戈)
    犬ふぐり野川かがやきついて来る (米谷静二)

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