■ 鴨川や柳に桜しだれ揺る
( かもがわや やなぎに さくら しだれゆる )
かつては、氾濫を繰り返す暴れ川として知られていたが、今は河川敷公園が整備され、市民および観光客の憩いの場となっている。
先日、その鴨川に架かる三条大橋の近くに行き、そこから川沿いに四条まで歩いたが、やはり目に着いたのは枝垂柳と桜。今まで気づかなかったが、その桜のほとんどが枝垂桜だった。
昨日のブログでは、染井吉野がほとんど散ってしまったと報告したが、この枝垂桜の方は、丁度盛りのようであり、もう暫くは楽しめそうである。
本日の掲句は、その枝垂桜が枝垂柳と共に風に揺られているのを見て詠んだ句である。「柳」「桜」はいずれも春の季語で、本句も昨日に続き季重なりとした。
因みに、「枝垂桜」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 暗闇に浮かぶ妖しき糸桜
② 雨だれの重たき枝垂桜かな
①は、全国的にも有名な円山公園の枝垂桜がライトアップされ、暗闇に白く妖しく浮かんでいるのを見て詠んだもの。「糸桜」は「枝垂桜」の別称。
②は、ある神社の庭園で、枝垂桜が雨を含んだ花弁を垂らしているのみて詠んだ句。何とも妖艶な感じだった。
枝垂桜は、バラ科サクラ属の桜の一種で、江戸彼岸(えどひがん)の変種。長い枝を垂れ下げ、その先端にたくさん花をつける。原産地は日本。
花期は2種類あって、白花の枝垂桜や紅(べに)枝垂桜など早咲きの枝垂桜は3月下旬から4月初旬。八重紅(やえべに)枝垂などの遅咲きのものは4月上旬から中旬。花色は白、ピンク、赤。
「枝垂桜」を詠んだ句は結構あるが、その中からいくつか選定し以下に掲載した。
【枝垂桜の参考句】
まさをなる空より枝垂桜かな (富安風生)
枝垂桜垂れて疎水の水にまで (山口誓子)
杉間より流るる枝垂桜かな (沢木欣一)
日がさして影添ふ枝垂桜かな (西村和子)
大いなる枝垂桜の影の中 (山田静雄)