■ 連翹の黄色が好きと幼子が
( れんぎょうの きいろがすきと おさなごが )
万作(まんさく)、黄梅(おうばい)
柊南天(ひいらぎなんてん)、ミモザ
山茱萸(さんしゅゆ)、三椏(みつまた)
土佐水木(とさみずき)
いずれも、特徴のある花を咲かせるが、本日取り上げる「連翹(れんぎょう)」の黄色は、鮮やかさにおいて、随一と言っても良いだろう。
掲句は、そんな花の写真を撮っていた時に、「わたし、黄色の花が大好き。」と幼子が引率のお祖母さんに言っていたのを聞いて詠んだ句である。「連翹の花」は春の季語。
因みに、「連翹」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 幸福のハンカチのごと連翹黄 *幸福=しあわせ
② 連翹の花犇犇と犇めけり
③ 連翹に鶯鳴いて仏めく
①は、山田洋次監督の映画「幸福の黄色いハンカチ(1977年公開)」のラストシーンに重ねて詠んだ句である。
②は、連翹が、枝の付け根から先まで一杯にびっしりと花をつける様子を「犇犇(ひしひし)」「犇めく(ひしめく)」で表現した句。
③は、連翹の「レンギョウ」が日蓮宗のお題目「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」を連想させ、鶯の囀り「ホーホケキョ」が「法、法華経」を連想させることから、「仏めく」と結んだ句である。
連翹はモクセイ科レンギョウ属の落葉低木で中国原産。日本への渡来は古く、平安時代初期と言われている。(異説あり)
花期は3月~4月。葉が芽吹く前に2~3cmの黄色い4弁の花を咲かせ、咲き終わる頃に、緑色の葉が生えてくる。
余談だが、彫刻家・詩人の高村光太郎の命日は4月2日で、「連翹忌」とも呼ぶそうだ。これは、高村が生前好んだ花が連翹であり、彼の告別式で棺の上にその一枝が置かれていたことに由来するとのこと。
「連翹」を詠んだ句は多く、これまで例句を何度か掲載したことがあるが、以下にはそれ以外のものを選んで掲載した。
【連翹の参考句】
きはまりて連翹の黄は緑さす (松村蒼石)
連翹のはなちそめたるひかりかな (久保田万太郎)
連翹に挨拶ほどの軽き風 (遠藤梧逸)
連翹の迷ふことなき明るき黄 (後藤比奈夫)
遠山を連翹の黄の立ちふさぐ (波多野爽波)
連翹に挨拶ほどの軽き風 (遠藤梧逸)
連翹の迷ふことなき明るき黄 (後藤比奈夫)
遠山を連翹の黄の立ちふさぐ (波多野爽波)