■ そよ風にゆーらりゆらり土佐水木
（ そよかぜに ゆーらりゆらり とさみずき ）
土佐水木の花は、いくつもの黄色い小花が房状に垂れ下がるように咲く。それが、風に吹かれてゆらゆら揺れているのが何とも心地良い。
本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句である。「土佐水木の花」は春の季語。
因みに、土佐水木に関しては過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 黒潮の風を感じて土佐水木
② よさこいを踊るがごとく土佐水木
①は、名前にある「土佐」から「黒潮」を連想して詠んだ句。
②は、同じく「土佐」から「よさこい節」を連想して詠んだ句だが、最近は、それをアレンジした「よさこい鳴子踊り」が全国的に有名になっている。
土佐水木は、マンサク科トサミズキ属の落葉低木。原産地は日本（四国）。花期は３～４月ごろ。早春から明るい黄色の花を咲かせ、江戸時代から庭木や盆栽、切り花として親しまれてきた。
水木といえば、ミズキ科の植物を思い浮かべるかも知れないが、土佐水木は、それとは全く別科の植物。葉の形が似ているので水木という名がつけられ、土佐（高知県）近辺の山地で自生していたことから土佐が冠せられたとのこと。
似ている花に、日向水木（ひゅうがみずき））があるが、こちらは、房状に花が２～3個しかつかないのに対し、土佐水木には７～１０個ほど付くこと、雄しべの先端が赤くなることなどから容易に見分けることができる。
因みに歌で有名な「花水木」はミズキ科の花で、土佐水木とは全く関係がない。
「土佐水木」を詠んだ句はままあり、これまでも何句か紹介したことがあるが、以下にはそれ以外のものを選んで掲載した。
【土佐水木の参考句】
鐘一つ撞いて札所の土佐水木 （宮川貴子）
土佐水木高きは風の中に咲く （谷口ふみ子）
昼の虻吸ひこまれゆく土佐水木 （高澤良一）
雲仙の谿の深さや土佐水木 （大浦香）
土佐水木咲きしづもれる山路かな （桜木俊晃）