■ 悔やむことばかり思い出す忘れ草
( くやむことばかり おもいだす わすれぐさ )
最近、年のせいか時々かなり前のことを思いだし、何であんなことをしたのだろう、こうしておけば良かったのにと悔やむことがよくある。今更どうしようもないことなので、すぐに他のことを考え忘れるようにしているのだが・・・。
ところで、上句は、以下の句を参考に詠んだ句でもある。
参考句: さまざまのこと思い出す桜かな
(松尾芭蕉)
実に平凡な句だが、芭蕉が詠んだとなると忽ち名句になる。俳句は少ない言葉で表現されるため、詠んだ人の人生に重ねてみないと心に響かない句がある。この句も、その一つであると言って良いだろう。
因みに、昨年はストレートに以下のように詠んだ。
関連句: 悲しきを花に託して忘れ草 (2012/7/12作)
藪萱草は、ユリ科ワスレグサ属の多年草。中国原産で有史前に日本に渡来。花期は7月~8月。 別名の「忘れ草」は、中国で、春先に萱草の若芽を食べると「憂いが晴れる」といわれ、「忘草」「忘憂草」と呼ばれていたことに由来する。これがのちに、萱草の花を身につけたり見たりするだけで「憂いを忘れさせてくれる」という意味合いに変わっていったそうだ。
【参考句】
生れ代るも物憂からましわすれ草 (夏目漱石)
をりからの月光まぶし忘れ草 (三橋鷹女)
萱草や昨日の花の枯れ添へる (松本たかし)
萱草も咲いたばつてん別れかな (芥川龍之介)
海に出て海濁りをりわすれ草 (森澄男)
生れ代るも物憂からましわすれ草 (夏目漱石)
をりからの月光まぶし忘れ草 (三橋鷹女)
萱草や昨日の花の枯れ添へる (松本たかし)
萱草も咲いたばつてん別れかな (芥川龍之介)
海に出て海濁りをりわすれ草 (森澄男)