■ その芯に小宇宙ありポインセチア
( そのしんに しょううちゅうあり ぽいんせちあ )
先週行った植物園には、目新しい花は咲いていなかったが、たまたま観覧温室で「ポインセチア展」が開催されていたので入室してみた。
展示場に入ると直ぐに目に入ってきたのが、様々な形や色のポインセチア。ポインセチアと言えば、鮮やかな赤のものを思い浮かべるが、白や黄色、ピンクのものもある。
ところでポインセチアの真っ赤な部分は、葉が変形した赤い苞葉(ほうよう)であり、本当の花は真ん中に固まって咲く。そのことを数年前に知った。
右の写真の中心にきらきらと光るものがそれで、花びらがない雄花と雌花により形成されている。黄色い口のように見えるものは蜜腺。
これらの花の部分については、注目して見られることはあまりないが、よく見ると色も形も実に美しく、小宇宙を形成しているようでもある。
本日の掲句は、そんな花の姿を見て詠んだ句である。ポインセチアは歴とした冬の季語。
因みに、「ポインセチア」に関しては。過去に以下の句を詠んでいる。
鮮やかな血の色に染むポインセチア
血と聞くとドキッとする人もいると思うが、欧米では、ずっと以前からキリストの血の色に例えられてきたそうだ。だからこそ、クリスマスの時期に飾られることが多く、クリスマスフラワーという別名もある。
ポンセチアは、トウダイグサ科トウダイグサ属の常緑性熱帯植物。原産地は中央アメリカ(特にメキシコ)で、樹高は3~5mにもなるとのこと。日本には明治時代に観葉植物として渡来した。
短日性植物で、日本では昼間の長さが12時間以下になる9月下旬頃から花芽が分化するが、その生育には18度~20度前後の温度が必要とのこと。また、苞葉は11月~12月にかけて着色する。現在品種改良が進み、赤以外のものも多数出回っている。
名前はアメリカ合衆国の初代メキシコ公使J・R・ポインセットに因む。和名は猩々木(しょうじょうぼく)。猩猩とは中国の想像上の怪獣のことで、猿のような顔をもち毛は紅色であることから、それに例えられた。
「ポインセチア」は季語になっていることもあり、詠まれた句もままある。以下には、ネットで見つけた句をいくつか掲載した。
【ポインセチアの参考句】
ポインセチア会ひたき人の多いこと (中村汀女)
ポインセチア愉しき日のみ夫婦和す (草間時彦)
ポインセチア教へ子の来て愛質され (星野麦丘人)
待ち侘びしポインセチアに染まるほど (山田弘子)
ポインセチア炎え奔放に恋いくつ (仙田洋子)