■ 冬天に威風堂々皇帝ダリア
( とうてんに いふうどうどう こうていだりあ )
先日行った植物園では、花らしい花はほとんど見られなかった。
ただ、「四季彩の丘」という花壇では、違和感さえ感じさせるほどの大きな花を沢山咲かせている「皇帝ダリア」が見られた。
この花を初めて見たのは5年ほど前。近くの家の塀越しに、太い茎を2階に届くまで伸ばし、紫の大輪の花をいくつも咲かせていた。
名を聞くと「皇帝ダリア」といいう返答。ダリアと言えば、ポンポン咲きのものを思い出す。しかも咲くのは夏から秋。だから、これがダリアの仲間だとは俄かに信じられなかった。
本日の掲句は、そんなダリアを改めて見て詠んだ句。冬の曇天をバックに大きな花をいくつも堂々と咲かせていた。この花はやはり広い土地に似合う。「
「皇帝ダリア」はまた季語として定着していないので、上五には「冬天(とうてん)」という冬の季語をおいた。尚、「ダリア」は単独では夏の季語となる。
因みに、「皇帝ダリア」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① あらとうと師走の空にダリアかな
② 冬空に皇帝ダリアの寂しきや
①は、師走の寒空に雄々しく咲いている皇帝ダリアに敬意を表して詠んだ句。上五は、芭蕉の「あらとふと青葉若葉の日の光」からの引用。
②は、皇帝ダリアの「皇帝」から寂しい最後を遂げた「ナポレオン皇帝」を思い出し、それに重ねて詠んだ句。
皇帝ダリアはキク科ダリア属の多年草で、原産地は南米のメキシコ。花期は11月~12月で、10cm~20cmほどの大きな薄紫色(ピンク)の花を咲かせる。背丈は3~5mまでになる。別名で「木立(こだち)ダリア」ともいう。
皇帝ダリアもよく知られるようになったせいか結構詠まれている。これまで何句か紹介したことがあるが、以下にはそれ以外のものを掲載した。
【皇帝ダリアの参考句】
皇帝ダリア冬立つ空を独り占む (安立公彦)
皇帝ダリア空引きよせる小春かな (佐藤喜仙 )
短日や皇帝ダリア咲き誇る (加藤八重子)
見上げたる皇帝ダリアに見下ろされ (村上倫子)
まだ見ゆる皇帝ダリア冬夕焼 (廣瀬克子)
▼▼皇帝ダリアの太い茎