■ 秋闌けて未だ溌剌と千日紅
( あきたけて まだはつらつと せんにちこう )
先の日曜日に、2週間ぶりに植物園に行ってきた。
この日は、バラ展が開催されており、秋の薔薇が色とりどりに園内を彩っていた。また、コスモスが広い花壇に植えてあり、今が盛りと咲き誇っていた。
その他の花については、あまり目新しいものはなかった。ただ、北門の方に行って驚いたのは、今も千日紅(せんにちこう)が色鮮やかに咲いていたことである。
千日紅と言えば夏の花で、7月頃から咲いていたと思うが、まだ咲いているとは・・・。
そもそも名前が、花期が長いことから付けられているので、今頃咲いていても全くおかしくないのだが、実際にそれを見るとやはり驚嘆する。
本日の掲句は、そんな感慨を込めて詠んだものである。「千日紅」は夏の季語なので、上五に「秋闌ける」の秋の季語をおいた。
因みに、千日紅に関しては過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 線香の名とぞ覚えし千日紅
② 顧みて長し短し千日紅
③ 百日紅十倍すれば千日紅
①は、長い間「千日紅」を「千日香」と書き、線香の名前だと思っていたことを詠んだ。まだ小さい時に、テレビCMで流れていた「毎日香」と勘違いして覚えていたようだ。
②は、千日紅の「千日」に着目した句。千日と言えば約3年。顧みると長いようでもあり短いようでもある。「石の上にも三年」とよく言われるが・・・。
③は、花期の長い花に「百日紅(さるすべり)」があるが、それを十倍すれば「千日紅」だなと詠んだ戯れ句。
千日紅は、ヒユ科センニチコウ属の一年草。原産地は熱帯アメリカ 北アメリカ南部で、日本には江戸時代に渡来。花期は7月~11月。花色は、紅・ピンク・白・紫・朱色など様々。
尚、色づいているのは、花びらでなく苞葉(ほうよう)と呼ばれるもの。本当の花は、その先に小さく光るように咲く。
名前は、花期が長いことに加えて、乾燥させると紅色が千日以上色褪せないことなどから付けられたそうだ。たから、ドライフラワーなどにもよく用いられるとのこと。別名に「千日草(せんにちそう)」がある。
千日紅(草)を詠んだ句は意外と少ない。以下にはネットで見つけた句をいくつか参考まで掲載した。
【千日紅(草)の参考句】
一日千秋千日重ね千日草 (富安風生)
こほろぎのとびし千日紅の花 (右城暮石)
末枯を千日紅の拒むなり (阿波野青畝) *末枯(うらがれ)
蕾かと見れば千日紅の花 (星野椿)
長雨が長雨を呼び千日紅 (高澤良一)
長雨が長雨を呼び千日紅 (高澤良一)