■ 陽だまりに秋桜ゆるる喫茶店
( ひだまりに こすもすゆるる きっさてん )
秋桜(こすもす)の花が、近辺でも見られるようになってきた。近くでオープンした喫茶店のテラスにも植えてあって、先日の朝、散歩の途中に前を通った時、朝日を浴びて揺れていた。
本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句だが、中七、下五の「秋桜ゆるる喫茶店」はすぐに思いついたものの、上五に何をもってくるか、少し悩んだ。
こういう時は、大概TPOなどを考えてみるのだが、その過程で以下の句などを検討してみた。
T(Time)
朝焼けに秋桜ゆるる喫茶店
P(Place)
P(Place)
街角の秋桜ゆるる喫茶店
O(Occasion)
O(Occasion)
旅先の秋桜ゆるる喫茶店
巧拙はともかく、何れの句も、一応成立するとは思うがどうもぴったりこない。他にもあれこれと考えた結果、さだまさし作詩の「秋桜(こすもす)」の一節に出てくる「ひだまり」を思い出し掲句のように詠んだ。
最終的に決めて手になったのは何かと問われれば、結局は「思い入れ」ではないかと思う。すなわち、実際に遭遇した景や体験からくる何がしかの感動。それが「思い入れ」となり、句に表されているかどうか。掲句ではふわりと漂う「温み」を強調したかった。
話は戻って、「秋桜」に関しては過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① コスモスの風やわらかき里の道
② コスモスの平らに和む夢を見し
③ 川べりに揺れてコスモス五六輪
①は、京都の北方にある大原の里へ行った時に、田畑を囲むように咲いているコスモスを見て詠んだ句である。
②は、コスモスの元の意味である「宇宙」「世界」と、花の姿から感じとれる「平和」を結び付けて詠んだ句である。
③は、川べりに植えてある数本のコスモスが、白とピンクの花を咲かせているのを見て詠んだ句。コスモス園とは違い、静かに数輪の花を咲かせているのも風情があって良い。
コスモス(秋桜)は、キク科コスモス属の一年草。メキシコ原産で日本には明治時代に渡来。花期は8月~10月。花色は、白、ピンク、赤色など様々。花弁の形が桜に似ているところから「あきざくら」と呼ばれ「秋桜」の字が当てられた。
「秋桜」「コスモス」を詠んだ句は結構あり、以前本ブログでも何句か紹介したことがあるが、以下にはそれ以外のものを掲載した。
【秋桜等の参考句】
この頃の空コスモスの色似合ふ (後藤比奈夫)
燈台のコスモス海になだれおつ (石原八束)
コスモスのまだ触れ合はぬ花の数 (石田勝彦)
花よりも灯影やさしき秋桜 (古賀まり子)
燈台のコスモス海になだれおつ (石原八束)
コスモスのまだ触れ合はぬ花の数 (石田勝彦)
花よりも灯影やさしき秋桜 (古賀まり子)
コスモスに冷たき雨の日なりけり (行方克己)