■ 蜘蛛の巣にかかるは枯葉ばかりかな
( くものすに かかるはかれは ばかりかな )
本日は、二十四節気の小雪(しょうせつ)の日にあたり、「市街には本格的な降雪はないが、深い山の頂には雪が見られ、冬の到来が感じられるころ」といわれている。立冬の11月7日から2週間経過し、周辺も日増しに冬らしくなってきた。
その一方で、時折見られるのが、色とりどりの枯葉が、蜘蛛の巣にかかって揺れている光景。だんだんと冬めいてきていることを示す風物詩の一つであるといっても良いだろう。掲句は、そんな小景をそのまま詠んだ句である。
一つの問題なのは、「蜘蛛の巣」が夏の季語で、「枯葉」が冬の季語であるため、昨日に続いて「季重なり」となり、しかも「季違い」の句となったこと。しかし、本句の趣向からすれば、他の言葉で代用できないので、「枯葉」を主たる季語とし、冬の句として残すことにした。
因みに「蜘蛛の糸」と「枯葉」との取り合わせで、これまでも以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 散り急ぐ枯葉支える蜘蛛の糸
② 枯葉以てモビール創る蜘蛛の糸
①は、細い蜘蛛の糸が、散り急ぐ枯葉を落とすまいと支えている様子を、擬人法的に詠んだ句。②は、蜘蛛の糸が枯葉でモビールを創って揺らしている様子を詠んだ句。
参考句は、蜘蛛の巣、蜘蛛の糸では適当なものが見つからなかったので、枯葉に関するものを掲載した。
焚かんとす枯葉にまじる霰哉 (夏目漱石)
降り積めば枯葉も心温もらす (鈴木真砂女) *温もらす(ぬくもらす)
鳥飛んでまばらに残る枯葉かな (野村泊月)
枯葉一つ坂上りゆき上りゆき (千原草之)
一葉づつ一葉づつ雨の枯葉かな (八幡城太郎)