■ 色鳥の声かしましく紅葉濃し
( いろどりの こえかしましく もみじこし )
( いろどりの こえかしましく もみじこし )
今日も昨日に続き、紅葉・黄葉の記事となる。掲句は、11月初め頃、植物園の生態園で詠んだ句である。上五に使った「色鳥(いろどり)」とは、秋に渡ってくる小鳥で、それを彩(いろどり)にかけ、下五の「紅葉濃し」につなげた。
尚、「紅葉濃し」は「濃紅葉(こもみじ)」とともに秋の季語だが、「色鳥」も秋の季語なので、本句は季重なりの句となる。
ところで、季重なり(季重ね)とは、一句に二つ以上の季語を使うことをいい、できるだけ避けた方が良いとされている。それは、季語そのものに独特の持ち味があり、二つ以上いれるとその持ち味が、干渉しあい打ち消されるためだそうだ。ましてや、異なる季節の季語が入ったものは「季違い」ともいわれ敬遠される。
ただ季重なりの全てが悪いわけでなく、以下の場合は良いとされている。
①季語を重ねて互いを生かしあう場合
②季語の強弱がはっきりしている場合
尚、芭蕉、蕪村の頃は、この季重なりに関してはあまり問題にされなかったらしく、当人の季重なりの句も多い。
以上のことは、長年俳句をやっている方にとっては、常識的なことかもしれないが、俳句実作のための備忘メモとして掲載した。今後は、本ブログでも、できるだけ俳句実作の基本的なことを、時々メモ書きとして掲載していきたい。アドバイス、ご意見等あれば大いに歓迎である。
【紅葉濃し、濃紅葉の参考句】
自動車に埃かゝりし紅葉濃し (高浜虚子)
濃紅葉や閂かかる神の橋 (富安風生)
紅葉濃し谷川嶽の雪照りて (松本たかし)
濃紅葉に日のかくれゐる美しさ (松本たかし)
わが旅の紅葉いよいよ濃かりけり (高浜年尾)