■ 大胆に咲いて艶なるタイタンビカス
( だいたんに さいてえんなる たいたんびかす )
本日の掲句は、その花の姿を詠んだものだが、上五の「大胆(だいたん)」と花の「タイタンビカス」の語呂を合わせた駄洒落の句でもある。タイタンビカスは季語でないが、夏の季語に準じて使用。
タイタンビカスを初めて見た時は、アメリカフヨウ(アメリカ芙蓉)の一種かと思ったが、この花に先日取り上げたモミジアオイ(紅葉葵)を交配選抜した全く新しい花だそうだ。しかも開発したのは日本の赤塚植物園で、世に送り出されたのは2010年頃とまだ新しい。
名前は、大きな花をつけることから、ギリシャ神話に出てくる巨神「タイタン」に因み、ハイビスカスに花姿が似ていることから「ビカス」を加えてできたとのこと。当初タイ原産のハイビスカスの意かと思ったがそうではなかった。
因みに、「タイタンビカス」に関しては、昨年以下の句を詠んだ。
大庭に咲けば華やぐタイタンビカス
この花は大柄で派手な花だけに、大きな庭でこそ華やいだ感じになるというのが句意。
タイタンビカスは、アオイ科フヨウ属の宿根草。非常に強健で、日当たりさえ良ければ特に植えつける場所を選ばないとのこと。花期は、6月中下旬ごろより9月末。花色は、ブライトレッド、ピーチホワイト、ピンク、ローズの4色。
*宿根草(しゅっこんそう):多年生の草本のうち、生育に適さない時期(多くの場合冬であるが、夏のこともある)には地上部が枯れてしまうが、それをすぎると発芽して再び生育を始めるものをいう。(Wikipediaより)
花の大きさは、アメリカ芙蓉よりも幾分小さいが、通常の芙蓉の数倍の大きさがある。一日花で、朝に開花した花は、夕方にはしぼみ、翌日には落花するが、毎日次々と花を咲かせ、花全体の様子も日々変化する。1シーズンで1株当たり200輪以上咲かすとか。
ところで、夏から秋にかけては、この花の属するアオイ科フヨウ属の花が非常に多く見られる。名が知れているものだけを挙げれば以下のようになる。
立葵(たちあおい)、仏桑花(ぶっそうげ)=ハイビスカス、アメリカ芙蓉(ふよう)
紅葉葵(もみじあおい)、浜朴(はまぼう)、木槿(「むくげ)、芙蓉(ふよう) など
既に花期が過ぎたものもあるが、木槿や芙蓉などは、これからが本格的な見ごろを迎える。
タイタンビカスを詠んだ句は全くないので、参考句は割愛する。