Quantcast
Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

不揃いの花梨虚空に揺れてあり

$
0
0
■ 不揃いの花梨虚空に揺れてあり
           ( ふぞろいのかりん こくうに ゆれてあり )
 
最近ところどころで、林檎(りんご)ぐらいの大きさの果実が、小高い木にぱらぱらとなっているのを見る。まだ葉が緑でたくさんあった時は、それほどでもなかったが、黄葉し散り始めるとだんだんと目立ってくる。

イメージ 1この果実、名前は花梨(かりん)という。果実をよく見ると、大きさが不揃いで、かなり歪んだ形のものもある。一見、洋梨(ようなし)のようで、うまそうにも見えるが、かなり固くて酸味も強く、そのままでは食べれないそうだ。

だから、蜂蜜漬けやジャム、花梨酒などに加工して用いられるそうだが、面倒なのか誰も採る人がいない。掲出句は、そんな花梨の果実が、鈍色(にぶいろ)の空をバックに、揺れているのを見て詠んだ句である。
 
上五で使った「不揃いの」は、かつて「不揃いの林檎たち」というTVドラマがあり、そのタイトルがふと頭に浮かんだので使ってみた。残念ながらドラマは見ていない。

尚、「花梨(榠樝とも書く)」「花梨の実」は秋の季語なので、本句は秋の句とする。「かりんの花」は、春の季語。

花梨は、バラ科ボケ属の落葉高木で、原産地は中国東部。日本には1000年以上前に渡来したとのこと。花期は、3月~5月頃で、花は、同じ属の木瓜(ぼけ)に似ている。 果実は香りがよく、咳や痰など喉の炎症に効くとされ、のど飴に配合されていることが多い。

語呂合わせで「金は貸すが借りない」の縁起を担ぎ庭の表にカリンを植え、裏にカシノキを植えると商売繁盛に良いとも言われているそうだ。うむうむ、なるほど。

    【花梨(榠樝)の参考句】
     秋風の榠樝二三顆寝て見ゆる       (臼田亜浪)
     生家にもくわりん二十は付いている     (阿波野青畝)
     くらがりに傷つき匂ふかりんの実      (橋本多佳子)
     枝撓むほどになりたる花梨かな       (瀬島洒望)
     売り家の庭に花梨が熟れている       (川上杜平)
 
イメージ 2

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

Trending Articles