■ もたれあい絡み合いつつ貝母咲く
( もたれあい からみあいつつ ばいもさく )
また、細い葉に特徴があり、その先端が巻きひげのようになっている。それが何とも可憐であり、また絡み合っている姿は、どことなく愛らしさを感じさせる。
本日の掲句は、そんな貝母を見て詠んだ句。葉と葉を絡めているのは、強風にも倒れないように、互いに支えあっているためと言われているが、本当のところは分からない。「貝母咲く」「貝母の花」は、春の季語。
因みに過去には以下の一句だけ詠んでいる。
俯いて葉と葉からめる貝母かな
趣向は掲句とほとんど変わらないが、俯き加減で葉と葉を絡め、何かもじもじしている姿を詠んだ。
質素で気品があるということから、茶花として好まれているそうだ。同属の花には、黒百合(くろゆり)がある。
別名で「編笠百合(あみがさゆり)」があるが、それは、花の内側に網目模様があり、形状が編笠ににていることから付けられたとのこと。
【貝母の参考句】
優しさを葉よりもらひて貝母咲く (山田弘子)
判らぬはこの手の花よ花貝母 (高澤良一)
貝母咲き庭にやさしさ生まれけり (清水芳子)
かなしくて糸のからまる貝母かな (樋口愛子)
大寺に貝母を活けて人気なし (田中英子)