■ 春天に銀杏の若枝ほとばしる
( しゅんてんに いちょうのわかえ ほとばしる )
本日の掲句は、その様子を「ほとばしる」と表現し詠んでみた。漢字では「迸る」と書くが、「勢いよく飛び散る。また、激しく流れ出る。噴き出る。」といった意味。
「若枝」は季語でないので、本句では「春天(しゅんてん)」を春の季語においた。「春の空」「春空」と同義。
ところでこの句、日頃から剪定された銀杏の街路樹を見ている人なら、確かにそうだと頷いてくれると思うが、そうでない人は何の事だろうと訝しく思うかも知れない。
ただ、写真を見てもらえばなるほどと思ってもらえるとは思うが・・・。
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俳句は、原則十七音で感銘を受けた情景などを表現しなければならない。だから、句に詠まれた対象物や情景を見たことがない人には、なかなか伝わらないことがある。それはそれでやむを得ないことと思う。
考えて見れば、今ある沢山の季語も、そういう過程を経てできてきたものである。但し、剪定された銀杏の若枝に、自分以外に誰も感銘を受けなければそうはなるまいが。
【春天の参考句】
春天や影を流して軽気球 (鈴木花蓑)
春天に鳩をあげたる伽藍かな (川端茅舎)
浅間燃え春天緑なるばかり (前田普羅)
一寺より春天に消え木こり道 (宇佐美魚目)
春天や呼吸きれいな松続く (井上恵)
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