■ 冬の東北の旅(1)
先の日曜日から昨日まで東北方面に旅行に行ってきた。日本全国を寒波が襲い、出発が危ぶまれたが、幸いにも京都、大阪は晴れていて、伊丹空港を9時40分頃出発できた。仙台空港到着は11時前で、こちらも予想に反し快晴だった。
○ 静けさや雪に埋もるる立石寺
( しずけさや ゆきにうもるる りっしゃくじ )
閑けさや岩にしみ入る蝉の声
当日は時間の関係上、根本中堂をお参りするだけで奥の院までにはいけなかったが、、断崖絶壁に建つ納経堂等を遠くから拝むことができた。掲句は、その時の様子を詠んだ句である。
立石寺は、山形県山形市にある天台宗の寺院。貞観2年(860年)に清和天皇の勅願によって慈覚大師が開山された。山号は宝珠山。本尊は薬師如来。山寺(やまでら)の通称で知られている。
:::
立石寺は芭蕉が訪れたことで有名になり、多くの俳人が句を詠んでいる。
【立石寺の参考句】
夏山のトンネル出れば立石寺 (高浜虚子)
かの岩をきはめし花の立石寺 (阿波野青畝)
ひえびえと花絵蝋燭立石寺 (辻桃子)
*松尾芭蕉象と句碑
:::
○ 荒蔵王樹氷の影は五里霧中
( あらざおう じゅひょうのかげは ごりむちゅう )
山頂駅について、どんな光景が広がるのかと期待して駅を出ると、何とそこは真っ白。降り続く雪で数メートル先が見えない。駅より100m先にある背丈2.34mの地蔵も、腰まで雪に埋まっていた。
掲句は、その時の率直な印象を詠んだ句である。上五の「荒蔵王」は、参考句として掲載した石原八束の句から引用した。下五の「五里霧中」は「方針や見込みがまったく立たないこと」のたとえとして使われるが、ここでは字義通りに使った。
頂上はそんな状態だったので、15分ほどいて直ぐに下山した。
:::
尚、蔵王は四季折々の景観が素晴らしく詠まれた句も多い。
【蔵王の参考句】
雪来るや雲の切れ間の荒蔵王 (石原八束)
日輪が滴り梅雨の蔵王立つ (水原秋桜子)
高きこと明易きこと蔵王山 (鷹羽狩行)
雪来るや雲の切れ間の荒蔵王 (石原八束)
日輪が滴り梅雨の蔵王立つ (水原秋桜子)
高きこと明易きこと蔵王山 (鷹羽狩行)
===付 録===
この日は他に以下の句を詠んでいる。いずれも東北へ行く途中に詠んだ句で、本題とは少し離れるので、句と写真と注釈のみを掲載した。
○ 旅立ちの暁に見ゆ冬満月
( たびだちの あかつきにみゆ ふゆまんげつ )
24日は6時前に家を出たが、バス停に向かう西の空に丁度満月が見えていた。写真は急いでいたので残念ながら撮れなかった。
○ 寒荒れの雲上の空真青なり
( かんあれの うんじょうのそら まさおなり )
*たぶん富士山