■ 風雪に耐えて春待つ御所の松
( ふうせつに たえて はるまつ ごしょのまつ )
そこで、この日はじっくりと松を見て回ることにした。京都御苑の総面積は東京ドームの約20倍。ここには実に沢山の松が植えてある。よく見るとつっかえ棒で支えられている大きな古木も散見された。
本日の掲句は、そんな情景を見ながら詠んだ句である。句跨りの「風雪に耐えて」という言葉は、様々な歴史上の出来事があった場所に因んだもの。季語は「春待つ」(冬)。
*句跨り(くまたがり):一つの言葉が音節間をまたがること。
ところで、松といえば、昔から常緑で、生命力の強い、おめでたい木とされており、正月には門松が家の門の前などに立てられた。そして、それが立てられる期間を「松の内」と言われている。
ただ、その期間は地域によって違っており、関東では7日まで、関西では15日までとなっている。また、その期間が過ぎると「松過ぎ(まつすぎ)」という。先日の土曜はまさにその日だった。
《新年》門松(かどまつ)松飾( まつかざり)松の内 (まつのうち )松納( まつおさめ)
松過 (まつすぎ)
《春》松の緑( まつのみどり)松の花( まつのはな)松の芯(まつのしん)
《夏》松落葉( まつおちば)
《秋》松手入( まつていれ)新松子(しんちじり)青松毬(あおまつかさ)松ぼくり(まつぼくり)
《冬》松迎え(まつむかえ)
《春》松の緑( まつのみどり)松の花( まつのはな)松の芯(まつのしん)
《夏》松落葉( まつおちば)
《秋》松手入( まつていれ)新松子(しんちじり)青松毬(あおまつかさ)松ぼくり(まつぼくり)
《冬》松迎え(まつむかえ)
【関連句】
① 門松も少なくなりぬ京の町
② 常緑の松秋にてはつまらなき
①は、伝統の町京都でも門松がほとんど見かけなくなってきたことを詠んだ。立てるのは店や神社の一部だけである。
②は、葉が常に緑で変わらないことから縁起の良い樹木とされている松も、紅葉の秋においてはつまらなく見えると詠んだもの。中七の松と秋の間で切れる。尚、「色変えぬ松(いろかえぬまつ)」という秋の季語があることを最近知った。
【松過(ぎ)の参考句】
松過ぎを掘りかへしけり瓦斯工事 (巖谷小波)
松過の又も光陰矢の如く (高浜虚子)
畑道まがる日和や松過ぎぬ (渡辺水巴)
犬つれて松過ぎの人歩きけり (高橋淡路女)
松過のがらりと変る人通り (星野立子)