■ 屋敷守る柊南天冬紅葉
( やしきもる ひいらぎなんてん ふゆもみじ )
柊南天は、南天の仲間だが、柊(ひいらぎ)のように葉が鋸状で棘があるところからこの名前がついたようだ。南天は、その読みが「なんてん=難を転ずる」に通じると言われ、柊は、葉の鋭い棘よって邪気を払うとされている。
その二つの名前を合わせもっているのだから、相当有難い樹木と言えるが、そのせいか、街路樹や庭木として植えられているのをよく見かける。
本日の掲句は、そんな柊南天が遅ればせながら紅葉しているのを見て詠んだ。柊南天は、落葉樹でないので、秋に黄葉して落ちることはなく、冬から春にかけて部分的に紅葉する。季語は「冬紅葉」(冬)。
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柊南天は、単独では季語にならず、「柊南天の花」が春の季語。過去には以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 棘の葉で難を転ぜよ柊南天
② 春なのにまだ秋模様柊南天
③ 恙無く柊南天花盛る
①は、有難い名前の柊南天に願をかけて詠んだもの。無季。
②は、春になったのに、まだ紅葉のまま(秋模様)であることを詠んだもの。
③は、「恙無し」を柊南天の有難い名前に掛けて詠んだもの。花を詠んだ春の句。
果実は6月~7月頃につけるが、南天と違い紫黒色である。また、常緑性なので落葉はしないが、冬季、部分的に赤銅色になる。