■ 陽だまりに日本水仙耀えり
( ひだまりに にほんずいせん かがよえり )
この句で、あえて「日本水仙」としたのは、「日本」を多少とも意識したからである。昨年来、世界の情勢は大きく変化し、だんだんと、きな臭くなってきた。また、訪日外国人も急激に増え、日本を改めて見直す機会も多くなってきた。
今年は、まさに日本の行く末を考える年になると思うが、できれば淑やかな日本水仙のように、平和で美しい日本が今後とも続くことを念願したい。ただその方法論については、いろいろと議論があるようなので、ここではこれ以上触れない。
尚、「日本水仙」は、「水仙」「水仙花」とともに冬の季語となっており、過去には以下の句を詠んでいる。*「黄水仙」は春の季語。
【関連句】
① 水仙の笑うがごとく咲きにけり
② 水仙花卵の色に咲きにけり
③ バス停に送る人あり水仙花
②は、花の色が「ゆで卵」の切り口に似ているので、その印象をそのまま詠んだ。句の調子は、芭蕉の「秋海棠西瓜の色に咲きにけり」を真似た。*秋海棠(しゅううかいどう)
③は、ある人をバス停まで送って行った時のことを思い出し詠んだ句。
「すいせん」という名は、中国での呼び名「水仙」を音読みしたもの。「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」という中国の古典に由来し、水辺で咲くきれいな花の姿と芳香から、まるで「仙人」のようだということで命名されたとのこと。別名に 「雪中花(せっちゅうか)」がある。
【水仙等の参考句】
初雪や水仙の葉のたわむまで (松尾芭蕉)
水仙や日の出をまてる海の雲 (水原秋櫻子)
水仙や来る日来る日も海荒れて (鈴木真砂女)
水仙の花びら氷りゐたりけり (長谷川櫂)
水仙と矢の翔ぶやうな青空と (奥坂まや)