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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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大いなる楓の落葉の色厚き

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■ 大いなる楓の落葉の色厚き
            ( おおいなる ふうのおちばの いろあつき )

イメージ 1京都府立植物園で見た植物の記事は、これまでもかなり掲載してきたが、この園の名木でまだ紹介できていないものがある。その一つが、本日掲載の「楓(ふう)」である。

この樹木は、植物園を開園する時に台湾から運んで植えられたもので、樹齢は約100年。樹高は25mほどで、木全体に葉を広げた姿は雄大であり、殊に紅葉の樹姿は壮観である。

植物園に行った時は、必ずその楓を仰ぎ見るのだが、先日は紅葉した葉を7~8割方落とし、樹下には落葉の厚い絨毯を形成していた。掲句は、その時の景を詠んだものである。季語は「落葉」(冬)。

ところで、「ふう」は「楓」と書くが、訓読みでは「かえで」と読む。だから、「ふう」は「かえで」と同じ仲間と思われがちだが、全く違う科の植物である。

恐らく日本に渡来した時に、掌状に分かれた葉が似ており、美しく紅葉することから、「かえで」の仲間と混同されたのだろう。ややこしい話だが、「楓」と書かれている場合は、どちらなのか確認する必要がある。

イメージ 2楓(ふう)は、マンサク科フウ属の落葉高木で原産地は台湾、中国南部。日本には江戸時代中期に渡来した。雌雄同株だが花には雌花、雄花があり、ともに球形で花被がない。春、新葉が出るとともに咲く。

イメージ 3葉は浅い3裂の掌状。唐楓(とうかえで)によく似ているが、3裂の切れ込み度合いが唐楓より浅い。また、近縁種の「紅葉葉楓(もみじばふう)」は、葉が5~7裂するので区別できる。いずれも秋から冬にかけ美しく紅葉する。

果実は、「かえで」のようなプロペラ型ではなく、栗のようなトゲに包まれた丸い集合果。秋にできる。別名には、三角葉楓(さんかくばふう)、台湾楓(たいわんふう)、伊賀楓(いがかえで)などがある。

イメージ 4「楓」を詠んだ句は結構あるが、そのほとんどは「かえで」だと思われる。区別が困難なので、参考句は「落葉」で詠んだものをいくつか掲載した。

      【落葉の参考句】
       吹きたまる落葉や町の行き止り  (正岡子規)
       団栗の己が落葉に埋れけり     (渡辺水巴)
       むさしのの空真青なる落葉かな  (水原秋櫻子)
       山々は落葉とねむる日をかさね  (長谷川双魚)
       高きよりひらひら月の落葉かな   (日野草城)

イメージ 5


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