■ 蒼天にメタセコイアの紅葉散る
( そうてんに めたせこいあの もみじちる )
先日は、そのメタセコイアが遅ればせながら紅葉しているのは見た。丁度冬晴れの青空が広がっていたので、浮き立つように見えた。本日の掲句はその様子を詠んだものである。
上五の「蒼天(そうてん)」とは青空のことだが、この植物は樹高が高いので「天」を使うことに拘った。紅葉の色は、赤と黄の中間ぐらいで赤茶色。「黄葉」とすることも考えたが最終的に「紅葉」とした。本句では「紅葉散る」が冬の季語。
因みに、メタセコイアに関しては過去に以下の一句だけ詠んでいる。
メタセコイアの太古に続く冬の天
上句は、そのことを知って1月の中頃に詠んだもの。メタセコイアは葉をすっかり落とし、裸木状態になっていた。
種子から育苗していたアメ リカの博士から、1949 年に天皇に献呈されたのが日本のメタセコイア第 1 号。 翌年、100本の苗木がアメリカから送 られ、それらの木から挿し木 された苗 が日本各地に広がり、学校等に移植さ れた。 滋賀県高島市のメタセコイア並木が有名。
【メタセコイアの参考句】
メタセコイアは神経の束冬澄めり (小檜山繁子)
初御空メタセコイアの昔より (鈴木貞雄)
冬青空メタセコイアは祈りの樹 (佐藤きらら)
メタセコイアの大樹三本紅葉す (元風骨)
冬枯れのメタセコイアのこの微熱 (鶴濱節子)