■ 台風の余韻激しく鴨の川
( たいふうの よいんはげしく かものかわ )
昨日の未明、台風18号が京都を直撃し、午前5時7分と17分に大雨特別警報のメールが携帯に届いた。「2階以上に避難するなど身の安全を守る行動をとれ」という記述があり、取りあえず2階に上がりテレビをつけて状況を確認した。
その後、朝の用事を済ませ外に出て見ると、嘘のように雨が止んでいた。ふと鴨川がどうなっているか気になり、バイクで川岸まで行ってみると、普段よりもかなり増水していて、中州が完全に見えなくなっていた。予想通りとは言え、濁流が激しくうねりながら流れていて、自然の驚異を改めて感じさせられた。
上句は、そんな鴨川の様子を見て詠んだ句である。右に掲載した写真のように、たまたま鴨の番(つがい)がいて、増水し濁った鴨川を恨めしそうに眺めている様子が印象的だった。台風は秋の季語。
尚、夕方のテレビニュースで桂川の氾濫による嵐山近辺の被害状況を見て、上句よりも強い調子で以下の句を作ってみた。ただ、実際に現場を見ていないので、とりあえず検討句として残すことにした。
検討句: 台風の爪痕深く桂川
因みに台風を題材とした句としては、以前に以下の句を詠んだことがある。
【関連句】
① 久々の空の青さよ台風一過
② 台風一過雲の切れ目に北十字
いずれも台風が過ぎ去った後の晴間=台風一過の景を詠んだもので、①は朝方、②は夕暮れ時の景。
余談だが、台風という言葉は比較的新しく、明治時代末に当時の中央気象台長が「颱風」を使い、当用漢字が定められた1946年以降に「台風」となったそうだ。それまでは、「野分き(のわき)」と呼ばれていた。
語源については、台湾や中国福建省で激しい風のことを「大風(タイフーン)」といい、それがヨーロッパ諸国で音写され「typhoon」となり、再び中国や台湾に入り「颱風」が使われるようになったという説があるが、異説もある。
【野分き、台風の参考句】
水寒し野分のあとの捨筏 (加舎白雄) *筏(いかだ)
釣鐘のうなるばかりに野分かな (夏目漱石)
大原女の居すくまりたる野分かな (巌谷小波)
台風の目つついてをりぬ予報官 (中原道夫)
台風を伊勢より連れて戻り来し (鷹羽狩行)
水寒し野分のあとの捨筏 (加舎白雄) *筏(いかだ)
釣鐘のうなるばかりに野分かな (夏目漱石)
大原女の居すくまりたる野分かな (巌谷小波)
台風の目つついてをりぬ予報官 (中原道夫)
台風を伊勢より連れて戻り来し (鷹羽狩行)