■ 吾亦紅彼もこうだと揺れてあり
( われもこう かれもこうだと ゆれてあり )
吾亦紅(われもこう)は、その花の形と名前が非常にユニークなので、俳句の中でもそのことに関連して詠まれることが多い。著名な俳人の句では、以下のようなものがある。
【参考句①】
此秋もわれもかうよと見て過ぎぬ (加舎白雄)
吾亦紅さし出て花のつもりかな (小林一茶)
吾も亦(マタ)紅(クレナイ)なりとついと出で (高浜虚子)
関連句: 風吹けば音符が踊る吾亦紅
吾亦紅は、バラ科ワレモコウ属の多年草。原産地はアジア、ヨーロッパ。秋に茎を伸ばし、その先の丸い花穂に暗赤色の花を上の方から下の方へと咲かせる。
吾亦紅の名前の由来は諸説ある。一説に、「われもこうありたい」とはかない思いをこめて名づけられたというものがある。
他にも命名する時、花の色に議論が及び茶色、こげ茶、紫などという人がいたが、「私は断じて紅だ」と言うのが聞こえ、選者が「われも紅とする」として「我亦紅」となったという説がある。いかにもとってつけたような説明だが、よりによってこの花がという疑問が残る。
尚、同じ読みで、吾木香、割木瓜とも書き、それぞれ謂れ(いわれ)がある。
また別名に、酸赭、山棗参、黄瓜香、豬人參、血箭草、馬軟棗、山紅棗根などがある。
また別名に、酸赭、山棗参、黄瓜香、豬人參、血箭草、馬軟棗、山紅棗根などがある。
【参考句②】
浅間越す人より高し吾亦紅 (前田普羅)
折とつて珠のゆれあふ吾亦紅 (高橋淡路女)
吾亦紅ぽつんぽつんと気ままなる (細見綾子)