Quantcast
Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

仙翁の名ぞ尊きと思うべし 

$
0
0
■ 仙翁の名ぞ尊きと思うべし 
            ( せんのうの なぞとうときと おもうべし )


                                                    (小倉仙翁)

イメージ 1仙翁(せんのう)という草花は、ずっと以前から知っていたが、よく似た花がたくさんあるため、なかなか句に詠めなかった。

ただ、名前が、仙人の「仙」と老人の尊称である「翁」が合わさったもので、きっと由緒ある花なのだろうとずっと思っていた。

そこで今回は、その由来などを調べてみたが、完全に予想が外れ、名前は「仙翁寺」という寺で栽培されていたから付けられというものだった。

ならば、「仙翁寺」が結構有名なのではと思い更に調べたところ、鎌倉時代に何故か廃絶されたそうだ。ただ、その名残として、その寺が建てられていた山を「仙翁寺山(せんのうじやま)」と今も呼ばれている。
*仙翁寺山は京都嵯峨にある曼荼羅山の異名。「京都五山の送り火」の鳥居形のある山。

尚、この寺が「仙翁寺」と呼ばれたのは、中国から渡来した「仙翁」という仙人が創建したからだそうだ。

ややこしいので、簡単に整理すると、「仙翁」というのは仙人の名前で、その仙人が創建した寺が「仙翁寺」。その寺で栽培されていたということで、本日紹介の草花が「仙翁」と呼ばれるようになったということらしい。

イメージ 2本日の掲句は、そんな「仙翁」という名前の最初の印象を詠んだものである。由来を調べてみると何だということになるが、それなりの気品はあるので、本句はそのまま残すことにした。「仙翁」は、「仙翁花(せんのうげ、せんのうけ)」ともいい、秋の季語になっている。

イメージ 3仙翁(花)は、ナデシコ科センノウ属の多年草。原産地は中国で日本には約六百年以上前に渡来。室町から江戸時代、京都では公家が夏の贈答の花や茶花として使っていたという記録があり、当時はかなり普及していたとのこと。

センノウ属に属する花は世界に約30種あり、日本には6種程あるそうだが、
これまで実際に見たのは、写真に掲載の「小倉仙翁(おぐらせんおう)」と「節黒仙翁(ふしぐらせんのう)」の2種。前者は撫子(なでしこ)似ているが、花弁の先の切れ込みが荒い。

イメージ 4あまり知られていないこともあり、「仙翁」「仙翁花」を詠んだ句は少ないが、ネットで見つけたいくつかの句を以下に掲載する。

      【仙翁(花)の参考句】
        仙翁花に取り付く大き揚羽蝶      (伊藤敬子)
        けさひらきたる仙翁と露草と      (黒田杏子)
        秋の日を気長に咲くや仙翁花     (七雨)
        仙翁花や信濃へ越ゆる峠道      (桜木俊晃)
        砂金採りし山に朱の濃き仙翁花   (詫摩まつ子)


(節黒仙翁)

イメージ 5

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

Trending Articles