■ 仙翁の名ぞ尊きと思うべし
( せんのうの なぞとうときと おもうべし )
(小倉仙翁)
ただ、名前が、仙人の「仙」と老人の尊称である「翁」が合わさったもので、きっと由緒ある花なのだろうとずっと思っていた。
そこで今回は、その由来などを調べてみたが、完全に予想が外れ、名前は「仙翁寺」という寺で栽培されていたから付けられというものだった。
ならば、「仙翁寺」が結構有名なのではと思い更に調べたところ、鎌倉時代に何故か廃絶されたそうだ。ただ、その名残として、その寺が建てられていた山を「仙翁寺山(せんのうじやま)」と今も呼ばれている。
*仙翁寺山は京都嵯峨にある曼荼羅山の異名。「京都五山の送り火」の鳥居形のある山。
尚、この寺が「仙翁寺」と呼ばれたのは、中国から渡来した「仙翁」という仙人が創建したからだそうだ。
ややこしいので、簡単に整理すると、「仙翁」というのは仙人の名前で、その仙人が創建した寺が「仙翁寺」。その寺で栽培されていたということで、本日紹介の草花が「仙翁」と呼ばれるようになったということらしい。
センノウ属に属する花は世界に約30種あり、日本には6種程あるそうだが、これまで実際に見たのは、写真に掲載の「小倉仙翁(おぐらせんおう)」と「節黒仙翁(ふしぐらせんのう)」の2種。前者は撫子(なでしこ)似ているが、花弁の先の切れ込みが荒い。
【仙翁(花)の参考句】
仙翁花に取り付く大き揚羽蝶 (伊藤敬子)
けさひらきたる仙翁と露草と (黒田杏子)
秋の日を気長に咲くや仙翁花 (七雨)
仙翁花や信濃へ越ゆる峠道 (桜木俊晃)
砂金採りし山に朱の濃き仙翁花 (詫摩まつ子)
(節黒仙翁)