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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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漆黒の闇に浮き立つ大文字

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■ 漆黒の闇に浮き立つ大文字 
                 (  しっこくの やみにうきたつ だいもんじ )

イメージ 1昨日16日は、地元京都で、毎年恒例の「五山送り火」が催された。夕方から小雨が降り出し少し心配したが、予定通り行われた。

大文字山(だいもんじやま)
近くに住んでいる関係で、いつも銀閣寺参道の交差点で見るのだが、今年も午後8時丁度に点火され、暗闇に炎の「大」の字が浮かび出た時は、何かしらほっとした。

本日の掲句は、その時の情況を詠んだ句である。「大文字」は、「送り火」とともに秋の季語。

因みに、五山送り火に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】
 ① 送り火の消えゆく炎過ぎし夏
 ② 今はまだ送る側にて大文字
 ③ 大雨を鎮め今燃ゆ大文字

京都に住んでいると、この送り火を見て夏の終わりを実感する。①は、そのことを詠んだ。②は、まだ送る側にいる自分を再確認した句。自分もいつかは送られる側に立つことになるのだろう。

③は、昨年詠んだ句。今年と違って、昼ごろから大雨が降り実施が危ぶまれたが、点火時間にはぴたりと雨が止んだ。

イメージ 2「五山送り火」は、京都の如意ヶ嶽(大文字山)などの五山で、文字や絵などをかたどった、篝(かがり)火を燃やす行事である。お盆に迎えた精霊をふたたび冥府に返す精霊送りの意味を持つ。起源は平安時代とも江戸時代とも言われている。

イメージ 3篝火の文字や絵には、それぞれ由来があるようだが、最も知られている大文字山の「大」に関しては諸説ある。例えば、阿弥陀仏が放った光明を弘法大師が「大」の字に書き改めたとする説、大という字は、もともと星をかたどったもので、仏教でいう悪魔退治の五芒星の意味があったのではないかという説など。

イメージ 4参考句は、五山送り火を「大文字」で詠んだ句をいくつか選定し掲載した。

      【大文字の参考句】
       大文字の火勢の大の真中より        (野澤節子)
       大文字の消えねばならぬ火を見たり    (駒敏郎)
       はるかなる火の音はるか大文字          (黒田杏子)
       くつきりと彼我の結界大文字         (吉田穂津)
       くろぐろと大文字待つあたま数         (川村悠太)

イメージ 5

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