■ 風を切り雄鶏のごと夏カンナ
( かぜをきり おんどりのごと なつかんな )
ところで、多くの花は大概人間の女性をイメージさせる。艶やかな色彩のカンナについても同様だが、花弁が大きく乱れた感じは、凛々しい雄鶏の鶏冠(とさか)をイメージさせ、何となく男っぽい。
最近は、男っぽい女性、強い女性が主役となるドラマも人気があるようだが、多少ともその傾向にそった感じで詠んでみた。もっとも、女性っぽい男性、気の優しい男性も、最近人気があるようだが。
因みに、カンナに関しては過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 花びらの何が何だか花カンナ
② 秋なればじゃじゃ馬カンナもしおらしき
②は、乱れた花の感じからカンナを西部劇などによく登場する「じゃじゃ馬娘」に喩え、そんな気性が激しい娘も秋になると幾分しおらしく見えると詠んだ。
名前は、ギリシア語で「アシ(葦)」を意味し、その草姿がアシに似ているところに由来する。和名は檀特(だんとく)という。
【カンナの参考句】
カンナ燃えさかれど避暑期はや峠 (久保田万太郎)
夕凪の濃さに息づくカンナかな (久米正雄)
空梅雨のカンナや迷ふこともなし (加藤楸邨)
峡の町にカンナを見たり旅つづく (川崎展宏)
しとしととカンナに雨の降る日なり (岸本尚毅)