■ 曇天に白際立てる芙蓉かな
( どんてんに しろきわだてる ふようかな )
最近は朝夕が涼しく寝るのに心地よい。昼間はまだ残暑が厳しいが、それでも夏の刺すような暑さはどこかへ行ってしまったようだ。ただ、昨日は久しぶりに青空が見えたが、今朝はまた曇り空。澄み切った秋空はなかなか見られない。
因みに、芙蓉については、これまで以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 芙蓉咲く零るる粉も真新し
② 風に舞う芙蓉の花のやわらかき
③ 地に落ちし芙蓉の花のまろきかな
①は、芙蓉の花の咲き初める立秋の頃に詠んだ句。②は、花が満開になった頃、秋風に揺れる芙蓉を見て詠んだ句。③は、芙蓉の木の下に和菓子のようにふっくらと丸く落ちている花を見て詠んだ句。
芙蓉は、アオイ科フヨウ属の落葉低木で、昨日紹介した木槿(むくげ)と同じ仲間である。原産地は、日本、中国など。花期は7月末~10月初頃。朝咲いて夕方にはしぼむ1日花で、長期間にわたって毎日次々と開花する。
花には、一重咲き、八重咲きがあり、花色は白色、ピンク、紅色など。変種で朝の咲初めは白色、昼は薄いピンク、夕方は紅色に変化する「酔芙蓉(すいふよう)」がある。
【芙蓉の参考句】
枝ぶりの日ごとに替る芙蓉かな (松尾芭蕉)
露なくて色のさめたる芙蓉哉 (正岡子規)
物陰に芙蓉は花をしまひたる (高浜虚子)
ゆめにみし人のおとろへ芙蓉咲く (久保田万太郎)
紅芙蓉白芙蓉又紅芙蓉 (星野立子)