■ いろいろの木槿とりどり咲きにけり
( いろいろの むくげとりどり さきにけり )
木槿の花は、6月末頃から咲き始め、今も方々で見られる。花色には、白、薄紅、紅、濃紅、紫などいろいろとあり、花の形も一重、八重があり、大きさも違っていて多種多様である。
平凡な句だが、木槿が色取り取りに咲いている状況をそのまま詠んだものである。尚、木槿は、夏の最中に咲くので、夏の季語と思われがちだが、秋の季語に分類される。
因みにこれまで、木槿に関しては以下の句を詠んだ。
① 梅雨晴間競うて咲きぬ花木槿
② 幾重にも散り花重ね咲く木槿
③ チャングムの誓いの花か紅むくげ
④ しろむくのむくのむすめやしろむくげ
①は6月末の咲き始めの頃に詠んだ句。②は木の下に幾重にも散らばっている落花を見て詠んだ句。③は韓流ドラマ「チャングムの誓い」に登場する紅のチョゴリにかけて詠んだ句。木槿は韓国の国花。④は白木槿を白無垢の衣装を着た娘さんに重ねて詠んだ語呂合わせの句。
木槿は、アオイ科フヨウ属の落葉低木で、「芙蓉(ふよう)」 「ハイビスカス」などと同じ仲間。中国、インド原産で日本には奈良(もしくは平安)時代に渡来したと言われている。花期は、6月~10月と非常に長い。
道のべの木槿は馬に食はれけり (松尾芭蕉)
それがしも其の日暮らしぞ花木槿 (小林一茶)
木槿咲く塀や昔の武家屋敷 (正岡子規)
咲き継ぎて散りつぎて花木槿かな (稲畑汀子)
花木槿ひねり加へて萎みけり (成井侃)