■ 春宵に花見小路の「をどり」観る
( しゅんしょうに はなみこうじの 「をどり」みる )
公演は日に4回あり、公演時間は約1時間。今回は、お茶券付きの特等観覧券を購入したので、開演時間より1時間ほど早めに会場へ。30分ほど前にお茶席に入り芸妓さんによる立礼式のお点前でお抹茶とお菓子を戴いた。
公演は、水色を基調とした着物の芸妓さんが、お囃子と唄に合わせて両袖から登場し始まった。舞台は、一瞬にして華やかな別世界へ。その後フィナーレの第八景まで休みなく舞台が変わり、最後は、総勢数十人の芸妓さん、舞妓さんが総踊りをして締めくくられた。
この華やかさ、艶やかさは、当然ながら言葉では言い表すことができないし、写真、動画撮影も禁止なので伝えようがない。YouTubeなどの動画サイトで、その一部を見ることができるが、実際に見るのと比べて迫力面でかなり違う。
本日の掲句は、そんな「をどり」を見たことの報告の句である。実際に見たのは昼だったが、「春昼」よりも「春宵」がふさわしいと思い変えた。中七の「花見小路」は地名だが、響きがいいのでそのまま使った。「踊り」は「盆踊り」などの関係で初秋の季語になっているので、下五では「をどり」と「」で括った。
尚、写真は、夕方に再度「花見小路」に行って撮ったもの。この頃になると外国人などの観光客がぐっと増えていた。どんな思いで見ているのか興味深い。
【春宵の参考句】
春宵の玉露は美酒の色に出づ (富安風生)
春宵の灰をならして寝たりけり (原石鼎)
春宵や客より綺羅の熱帯魚 (水原秋桜子)
春宵や客賑やかに門を出づ (田中冬二)
春宵の分針少し遅れゐる (行方克己)