■ 初に見る花梨の花は可憐にて
( はつにみる かりんのはなは かれんにて )
その花を、先日漸く見ることができた。たまたま通った大学の校門前に植えてある樹木にピンク色の花らしいものが見えたので近づいて見ると明らかに花。この樹木には、昨年の秋頃、花梨の大きな実がなっていたのを思いだし、花梨の花と特定した。
本日の掲句は、その時のことを詠んだ句である。花は3cmぐらいで枝に一輪ないしは二輪つけていた。あの花梨の実からはとても想像できない、清楚で可憐な花だった。尚、「花梨(榠樝とも書く)の花」「花かりん」は春の季語になっている。「花梨」「花梨の実」は秋の季語。
因みに、花梨の実については過去に以下の句を詠んでいる。
*花梨の実(昨年11月撮影)
【関連句】
① 不揃いの花梨虚空に揺れてあり
② 細枝にカリンカカリンカ花梨なる
① 不揃いの花梨虚空に揺れてあり
② 細枝にカリンカカリンカ花梨なる
①は、林檎(りんご)ぐらいの大きさの果実が、小高い木に不揃いに生っているのを見て詠んだ句。鈍色(にぶいろ)の空をバックに揺れていた。
②は、ロシア民謡「カリンカ」の最初のフレーズ「カリンカ カリンカ カリンカ マヤ」にかけて詠んだ句。
花梨は、バラ科ボケ属の落葉高木で、原産地は中国東部。日本には1000年以上前に渡来したとのこと。花期は、4月~5月頃で、花は、同じ属の木瓜(ぼけ)に似ている。結実期は10月~11月。
語呂合わせで「金は貸すが借りない」の縁起を担ぎ、庭の表にカリン=「借りん」を植え、裏にカシノキ=「貸しの木」を植えると商売繁盛に良いとも言われているそうだ。
【花梨(榠樝、かりん)の花の参考句】
榠樝の花数えたくなるやさしさに (相馬遷子)
小暗きに散り敷くことよ花かりん (岸田稚魚)
花かりん空気の透けて来るかな (松崎鉄之介)
甲斐犬もくわりんの花も夜明け前 (黒田杏子)
花かりん少女の湖を思うかな (黒川憲三 )