■ たんぽぽがぽぽぽぽぽぽとさいており
( たんぽぽが ぽぽぽぽぽぽと さいており )
本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句だが、実は数年前に詠んだ以下の句を一部修正したもの。
ぽぽぽぽとたんぽぽさきぬさんぽみち
これは、散歩道沿いに咲いている蒲公英の様子を詠んだ句だが、今回は、もう少し広い感じを出そうと、当初、散歩道を外して以下のように詠んでみた。
ぽぽぽぽとたんぽぽぽぽとさいており
これでも良かったが、いっそのこと「ぽぽ」を並べた方が良いのではと思い、掲句のようにした。「蒲公英」「たんぽぽ」は春の季語。
ところで、蒲公英の句でいつも思い出すのは、以下の句である。
たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ
現代俳句の代表作家の一人である坪内稔典(としのり)氏が詠んだ句で、国語の教科書にも載っているとのこと。最初に読んだ時、こんなめちゃくちゃな句があるのかと思った。同時にこんな句でも良いのだと自信を持たせてくれた。
この句も、たんぽぽの「ぽぽ」に注目したもので、「ぽぽ」=「火事」という連想が働いて作られたようだ。意味は不明だが、人口に膾炙する句が名句というのであれば、この句もその一つと言えよう。ただ、それ以外の点では評価が分かれそうだが。
【関連句】
① 石垣の隙にも咲きぬたんぽぽの花
② ここは好みでないのだが崖のたんぽぽ
③ たんぽぽの絮の旅立ち風任せ
①は、石垣の隙間に咲いる蒲公英に健気さを感じて詠んだもの。②は、①の句を元に人間の生き様にも多少関連させて詠んだ句。蒲公英の種は時に崖のようなところに落ちることがあるが、人間とて生まれる場所や環境は選べない。③は、蒲公英の絮(わた)が風に吹かれ、飛んでいくのを見て詠んだもの。
蒲公英(たんぽぽ)を詠んだ句はたくさんあり、これまでも何句か紹介したことがある。以下では、それ以外のものを掲載した。
【蒲公英(たんぽぽ)の参考句】
馬借りて蒲公英多き野を過ぎる (正岡子規)
人々は皆芝に腰たんぽぽ黄 (高浜虚子)
ふまれてたんぽぽひらいてたんぽぽ (種田山頭火)
たんぽぽ地に張りつき咲けり飛行音 (西東三鬼)
蒲公英や石垣匂ふ海のふち (沢木欣一)