■ 秋吉台にて 二句
○ カルストの億年前の海底に立つ *海底:そこ
( かるすとの おくねんまえの そこにたつ )
○ 万年の闇の雫や秋芳洞
○ 万年の闇の雫や秋芳洞
( まんねんの やみのしずくや あきよしどう )
バスで高台に上っていくと見えてきたのが、大きな石が所々に散らばっている広大な平原。樹木はほとんど生えていない。最初は火山岩かなと思っていたら、それが石灰岩だという。
約3億5千万年前はここが海底で、サンゴ礁が形成されていたが、海面が下がることで、石灰岩が方々で見られるようになったとのこと。その証拠に石を割るとサンゴや貝の化石が出てくるそうだ。カルストとは、石灰岩などが雨水などによって侵食されてできた地形。
本日の掲句の第一句はそんな情景を見て詠んだ句である。秋吉台は日本最大級のカルスト台地で、国定公園、特別天然記念物にも指定されている。尚、本句は季節というよりも長い時の経過を主題とした句であるため無季とした。
本日の第二句は、そんな情景と感慨を詠んだ句である。尚、この句も第一句と同様の趣旨で無季とした。
秋吉洞は、日本屈指の大鍾乳洞で、国の特別天然記念物に指定されている。洞内の延長はおよそ10km。その内の観光コースは約1kmで正面入口から黒谷入口までの高低差は約40m。温度は四季を通じて17℃と一定しているので、夏は涼しく、冬は暖かく快適だそうだ。
参考句は、カルスト、秋芳洞などを詠んだ句をいくつか掲載した。
【カルスト、秋芳洞の参考句】
カルストに来て月の出を待つばかり (飴山實)
カルストの波立つ冠山萌ゆる (石原八束)
虹の橋カルストの野をうるほして (阿波野青畝)
秋芳洞の胎内にゐて十二月 (坂巻純子)
荒梅雨の斜めにとぶや秋芳洞 (佐藤栄美)
荒梅雨の斜めにとぶや秋芳洞 (佐藤栄美)