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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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花街の柳の花の慎ましき 

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■ 花街の柳の花の慎ましき 
        ( はなまちの やなぎのはなの つつましき )

イメージ 1最近、近辺の柳を見ると、細く長い葉も生えてきて木全体が浅い緑色になってきている。近くへ行ってみると、枝にはいくつもの小さな花穂がついていて、それが綻んできている。

柳の花は、葉と同じ色なので全く目立たないが、ちゃんとあるんだということを知り、昨年は以下の句を詠んだ。

  柳にもちゃんと緑の花が咲く

今年は、その花を確かめながら句を考えてみたが、なかなか新しい句ができない。そうした時に、「柳の花」から「花柳」という言葉が浮かんできて、これとの関連で何かできないかと、その言葉の意味を調べてみた。

まず、「花柳」とは中国から入ってきた言葉で、その昔、遊女などがいる地域を「花街柳港」と称し、それを略したものだとのこと。日本では、芸者や遊女、また遊郭、遊里を指し、その世界を花柳界(かりゅうかい)と呼ぶようになったそうだ。多分後付けと思うが、柳腰の美しい娼(ネエ)さんがいる所の意であるともいわれている。

今は遊郭が亡くなったことから、主に芸妓(芸者)の世界すなわち花街(かがい、はなまち)などを指すそうだが、京都では今も、祇園、先斗町(ぽんとちょう)など6つの花街が残っている。

まだ若い時に、呉服関連会社の社長さんに、花街のお茶屋へ2、3度連れていってもらったことがあったが、それ以来全く縁遠い世界。ただ、最近は毎年行われる各花街の「をどり」公演を時々観に行っている。

イメージ 2前書きがかなり長くなったが、本日の掲句は、そんな花柳界の華やかさの中で、慎ましく咲いている柳の花をイメージして詠んだ句である。実際に花街の柳を見て詠んだ句ではなく、ちょっと想像を交えた句となった。「柳の花」は春の季語。

因みに柳に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

      【関連句】
       ① 芽柳やふさふさ揺るる日も近し
       ② 枝揃え靡く柳や浅みどり

①は、2月下旬頃の芽柳を見て、ちょっと不謹慎ながら、髪の毛の薄い人を思い出して詠んだ。②は、3月中旬頃、木全体が浅みどり色になっている柳が、枝先を揃え風に大きく靡いている様子を詠んだ。

イメージ 3柳は、ヤナギ科ヤナギ属の樹木の総称だが、一般的には枝垂柳(しだれやなぎ)をさす。原産は中国で、奈良時代に渡来したとのこと。柳の語源については、この木で矢を作ったので「矢の木」といい、 「やのき」→「やなぎ」へと変化したとする説が有力だが異説も多い。

参考句は、「柳」で詠まれた句をいくつか選定し掲載した。

      【柳の参考句】
        田一枚植ゑて立ち去る柳かな     (松尾芭蕉)
        瓦斯燈にかたよつて吹く柳かな    (正岡子規)
        卒然と風湧き出でし柳かな       (松本たかし)
        柳よりやはらかきもの見当らず     (後藤比奈夫)
        対岸の人に日当る柳かな       (岸田稚魚)

イメージ 4


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