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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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径中にもがく落蝉木に戻す

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■ 径中にもがく落蝉木に戻す
     ( みちなかに もがくおちぜみ きにもどす )
 
立秋が過ぎ、残暑はまだ厳しいものの、朝夕かなり涼しくなったきた。また、蝉時雨(せみしぐれ)も、だんだんと和らいできて、落蝉(おちぜみ)も時々見られるようになってきた。今朝も、わが散歩道の真ん中で、腹を上にしもがいている一匹の落蝉を見た。可哀イメージ 2想なのでつまんで近くの木に戻してやったところ、まだ余力が残っていたようで、しばらく木に掴りじっとしていた。

上句は、その時の様子をそのまま詠んだ句である。木に戻した落蝉は、その後どうなったか分からないが、いずれ再び落ちて地に還っていくものと思う。「落蝉」は「死蝉(しにぜみ)」とともに秋の季語。

因みに、これまで落蝉に関し以下の句を詠んでいる。

 【関連句】
   鳴き鳴きて土へと返る蝉骸   
   落蝉や時雨るる声に安らけし 
             *時雨る(しぐる)

一句目は、落蝉の死体=蝉骸(せみむくろ)として詠んだもの。二句目は仲間の蝉時雨の声を聞きながら息絶えた落蝉を詠んだものである。

以前にも書いたが、蝉は、幼虫として地下生活する期間が長く、3~17年(アブラゼミは6年)に達するそうだ。成虫期間は僅か1~2週間で、地上に出てからオスは懸命に鳴いてパートナー見つけ命をつなぐ。そのことを考慮して見ると蝉の死様は、いかにも潔いものに見えてくる。
 
   【落瀬、死蝉の参考句】
     落蝉の眉間や昔見しごとく         (山口誓子)
     蝉おちて鼻つく秋の地べたかな      (飯田蛇笏)
     死蝉をときをり落し蝉時雨          (藤田湘子)
     落蝉や誰かが先に落ちている       (永田耕衣)
     落蝉のすぐに掃かれし汐見坂       (能村研三)
 
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