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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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正月や人なき雪の真如堂

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■ 正月や人なき雪の真如堂   
          ( しょうがつや ひとなきゆきの しんにょどう )
 
イメージ 1年初は神社への初詣が相場となっているが、この間お寺の方はどうなのだろう。そんな疑問もあり、正月二日の朝、吉田神社へ初詣に行くついでに、真如堂というお寺に立ち寄った。
 
この日は、前日の雪がまだかなり残っていて、寺の参道は真っ白に覆われていた。門から少し入ると真っ先に目に入ったのは三重の搭。屋根が白く光っているのが印象的だった。

境内には、雪をかくお寺の人が数人見えるだけで、参拝する人はほとんど見られず閑散としていた。予想していたとは言え、ここは正月とは全く無関係という印象だった。内部では何かが行われているのかも知れないが、その気配すら感じられなかった。
 
*真如堂:天台宗の寺院で正式名は真正極楽寺。三井家の菩提寺で三井一族の墓石が並んでいる。
 
 
 
 
 
本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句である。この寺は、紅葉の名所でシーズン中は沢山の人が訪れる。ちょっと意外で寂しい感じがした。本句では「雪」が冬の季語。

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ところで、大晦日にお寺の除夜の鐘を聞き、正月には神社に初詣に行くという風習はいつ頃からできたのだろうか。ちょっと興味があり、ネットで調べてみた。その要点を参考まで以下に記載する。

●除夜の鐘は、鎌倉時代に中国の宋から伝わったといわれており、普及しだしたのは室町時代で、江戸時代に一般の寺院でも行うようになったと考えられている。
●一方、初詣の方は、家長が祈願のために大晦日の夜から元日の朝にかけて氏神の社に籠る「年籠り」(としごもり)と言う習慣があり、それが、大晦日の夜の「除夜詣」と元日の朝の「元日詣」との2つに分かれ、後者が原形になったと言われている。
●「年籠り」形式を踏まず、単に寺社に「元日詣」を行うだけの初詣が習慣化したのは、そんなに古くはなく明治中期のこととされている。また、この頃から有名な寺社に参詣することも一般的になった。

ここで注意を要するのは、初詣は神社だけでなく寺院も対象になっているということ。ただ、寺院の方は神社のように積極的に奨励していないだけのようである。

尚、俳句で「初詣」が季語として歳時記に採用されたのは明治末期であり、実際に「初詣」を詠んだ俳句が登場するのは大正時代以降だそうだ。

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参考句に関しては、「正月」を詠んだ句をいくつか掲載する。

     【正月の参考句】
       大粒の雨正月の闇うがつ      (角川源義)
       正月の山中にして囀れり       (岸田稚魚)
       青空のはりつめてゐるお正月    (深見けん二)
       正月の雪真清水の中に落つ      (廣瀬直人)
       正月や望みの高き絵馬あふれ   (林民子)
 
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