■ 針樅のさながら聖樹の如きかな
( はりもみの さながらせいじゅの ごときかな )
今日はクリスマスイブ。最近、夜に繁華街へ行くことはないのでよくわからないが、駅中やデパートなどでは、12月初め頃から大きなクリスマスツリーが飾られ、イルミネーションが煌々と光輝いていると聞く。
本日の掲句は、そんな光景を見て詠んだ句だが、もっぱら針樅を紹介するために作った句でもある。その様子は、掲載した写真である程度想像できると思うが、現物の迫力は、なかなか伝えられないのが残念である。聖樹はクリスマスツリーのことで冬の季語。
ところで聖樹(クリスマスツリー)は何のために飾るのか。その起源 (由来) ついて調べると、
「古代ローマ市民の間で、冬至までに短く弱くなる太陽が冬至以降に復活することを祝う祭りがあり、この時にヒイラギ (柊) など常緑樹を飾ったり、プレゼントを贈ったりなどしたことが、キリスト教布教に当たってクリスマスに取り込まれた。」
という説明があった。
しかし、この他にも様々な説があり定説はないようだ。ただ、いずれの説も、何かを祝ったり、楽しんだりするためのものであるということでは共通している。今は、蝋燭に代わり電飾という便利なものができて、クリスマスツリーもますます派手になってくるが、それはそれで良しと見るべきか。
聖樹(クリスマス・ツリー)に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
夏柑の聖樹の灯りに見ゆる日よ *夏柑(なつかん)
これは、夏柑(夏蜜柑)の実が黄色く色づき、まるでクリスマスツリーにつけられた丸い星飾りのように生っているのを見て詠んだ句である。
ハリモミ(針樅)は、マツ科トウヒ属の常緑針葉樹。日本特産種で冷温帯に分布する。樹形や葉の形状が樅(もみ)に似ていて、葉先が針のように尖っていることからこの名になったとのこと。
クリスマスツリー型の樹形で、大きいものでは樹高35m、樹径1mに達する。毬果は長さ7~15cmほどで先が丸く、比較的大型。
聖樹の句は本ブログでも以前紹介したことがあるが、以下ではそれ以外のものを掲載した。
【聖樹の参考句】
指弾して聖樹の銀の鐘鳴らず (山口誓子)
きざはしによべの聖樹の星ひろふ (能村登四郎)
聖樹よりなほ蒼き夜となれりけり (木下夕爾)
聖樹の灯心斎橋の灯の中に (石原八束)
聖堂の聖樹にもあり裏表 (品川鈴子)