■ すべすべの肌や裸のさるすべり
( すべすべの はだや はだかの さるすべり )
写真①百日紅
百日紅=猿滑り(さるすべり)というのは、ご承知の通り、夏に紅色や白色の花を咲かす植物だが、その木肌に樹皮がなくすべすべしていて、猿も滑って登れないだろうということから、その名がついた。(実際のところ、猿は簡単に登るそうだ。)
花が咲いている時も、その状況は十分確認できるのだが、すっかり葉を落とした様子を見ると、その木肌の滑らかさが際立ってよく分かる。掲句はそんな景を見て詠んだ戯れ句である。趣向、調子が何となく面白いので残すことにした。
尚、「百日紅」は夏の季語だが、「裸のさるすべり」を冬の季語の「裸木」と考え、本句は冬の句とした。(これは自己流の考え方で他では多分通用しないと思う。)
写真②百日紅
さて先般は、葉を落として裸木になれば皆同じように見え、なかなか区別ができないと言った。しかし、百日紅のように非常に特色のあるものもある。中でも特にユニークだと思ったのが、同じ植物園で見た「枝垂れ槐(しだれえんじゅ)」。
下掲の写真を見れば一目瞭然だが、まさに「凄(すさ)まじい」という言葉がぴったりの裸木であり、かつて、以下の句を詠んでいる。
裸でも凄いんですと枝垂れ槐
これは、十数年前にテレビCMで流れていた、「私脱いでも凄(すご)いんです」というフレーズを思い出して詠んだもの。
写真③枝垂れ槐
写真④ハダカギ=バクチノキ
序ながら、名前そのものが「ハダカギ」という名前の樹木があるのをご存じだろうか。右写真がその樹木だが、これは、「百日紅」と同様、木肌に樹皮がないことからその名がつけられたそうだ。
別名「バクチノキ」といい、博打で負けて身ぐるみをはがされ、丸裸になった姿に見立てて名付けられたとのこと。今回は実物を確認しなかったが、同じ植物園内に植えてある。(写真は今年の1月に撮ったもの)
尚、今回は植物の紹介を主とし、参考句に関しては割愛する。