■ もみじ背に山茶花の白映えてあり
（ もみじせに さざんかのしろ はえてあり ）
尚、この句は、秋の代表的な季語である「紅葉」と季重なりになる。この時期、紅葉も丁度盛りとなり、何を詠むにもこの紅葉が目に入ってくる。実景を見ての写生句に多少とも拘っているので、これはある程度はやむを得ないと思う。
季節の変わり目における季語の重なりが、季節の移ろいを強く感じさせる側面もあり、最近は敢えて季重なりで詠むことも試みている。それが良いのかどうかは、もう少し多くの句を詠んだ上で改めて検討してみたい。
山茶花に関しては、過去にもかなり詠んでいるが、その中から比較的気に入っているものを以下に再掲した。
【関連句】
① 冬隣り山茶花早も咲き初めし
② ふにゃふにゃと咲くが宜しき山茶花か
③ 山茶花や子連れママチャリ走り過ぐ
①は、１０月の半ば頃に詠んだもので、山茶花が冬の季語であることを意識して詠んだ季重なりの句。②は、山茶花の内特に一重のものは、きちんと整った花が少なく、何かふにゃふにゃとした感じであり、それがかえって宜しいと詠んだもの。
③は、前と後のチャイルドシートに子供を乗せたママチャリが、山茶花が咲く道を勢いよく通り過ぎて行った情景を見て詠んだ句。
山茶花は、ツバキ科ツバキ属の常緑高木。原産地は日本。花期は１０月～２月と比較的長い。自生種は白花が多いが、園芸種には赤や桃、ぼかしなどの花色がある。
尚、「山茶花」とは「椿」の漢名で、いつからか間違って定着したそうだ。また、読みも「さんさか」から変化して「さざんか」となったとのこと。
山茶花の参考句は、本ブログでも何度か掲載しているが、以下ではそれ以外のものを選んで掲載した。
山茶花の長き盛りのはじまりぬ （富安風生）
冷かや山茶花こぼる庭の石 （室生犀星）
山茶花の蕾そろひぬ初時雨 （山口青邨）
山茶花の散るにまかせて晴れ渡り （永井龍男）
山茶花のこぼれつぐなり夜も見ゆ （加藤楸邨）