■ お盆過ぎ耳につくつくつくつく法師
( おぼんすぎ みみにつくつく つくつくしぼうし )
もう9月。お盆の五山送り火を見てからもう2週間以上たった。今年は例年よりも涼しいせいか、何か時の経過が早いような気がする。あれだけ喧しかった蝉時雨の声も今はほとんど聞かなくなり、法師蝉の声が時折耳に付く。
因みに、法師蝉に関しては、過去に以下の句を詠んだ。
【関連句】
① 遅がけに忙しなく鳴く法師蝉
② 法師蝉もういいようと鳴き止みぬ
他の蝉とは違って、法師蝉は、時期的に遅くから鳴きだし、非常に忙(せわ)しなく鳴く。そんな様子を詠んだのが①の句である。②は、法師蝉が最初に「ツクツクボウシ」を10数回繰り返し、その後「モウイイヨ」と3~4回ほど繰り返して鳴き終わる様子を詠んだ。
動物の鳴き声は人によって聞こえ方が違うようだが、覚えやすいように、人間の言葉、時には意味のある言語の言葉やフレーズに当てはめたりすることがある。これを「聞きなし(ききなし)」というそうだ。
ところで、この蝉の呼称は、俳句では法師蝉が一般的だが、生物学では「ツクツクボウシ」が正式。セミ科の昆虫で体長は翅(はね)の先まで約4.5センチ、暗黄緑色の地に黒紋があり、背にW形の紋を持つ。
成虫は7月から発生するが、この頃はまだ数が少なく、鳴き声も他のセミにかき消されて目立たない。しかし他のセミが少なくなる8月下旬から9月上旬頃には鳴き声が際立つようになる。そして、9月下旬頃にはほとんどいなくなる。
特徴のある蝉のせいか、法師蝉を詠んだ句は非常に多い。その中で比較的わかりやすい句を以下に掲載する。
【法師蝉の参考句】
また微熱つくつく法師もう黙れ (川端茅舎)
法師蝉耳に離れし夕餉かな (阿波野青畝)
真昼かな浮かれ法師の法師蝉 (林翔)
日をまとふ森の暗さよ法師蝉 ( 阿部ひろし)
法師蝉矛を収むるごとく止む (大串章)
また微熱つくつく法師もう黙れ (川端茅舎)
法師蝉耳に離れし夕餉かな (阿波野青畝)
真昼かな浮かれ法師の法師蝉 (林翔)
日をまとふ森の暗さよ法師蝉 ( 阿部ひろし)
法師蝉矛を収むるごとく止む (大串章)