■ 道の辺の残暑にゆるる玉簾
( みちのべの ざんしょにゆるる たますだれ )
本日の掲句は、その様子を見て詠んだ句である。この花は夏の季語になっているので、中七に秋の季語「残暑」を入れ秋の句とした。実のところ、この花は、これから10月初旬ごろまで咲く。
余談だが、玉簾というと、大道芸の「南京玉簾(なんきんたますだれ)」を思い出す人も多いのではないだろうか。調べたところ、発祥は富山県で、同県の民謡こきりこ節に用いられる「ささら」が原型と言われている。
大道芸として現れたのは江戸時代で、本来は「唐人阿蘭陀南京無双玉すだれ」と称され、それが縮められて 南京玉簾」になったとのこと。どうも、明の大都市、南京にあやかって芸の価値を高める意図があったようだ。
話は元に戻って、玉簾に関しては、過去に一句だけ詠んでいる。
涼しさをいざなう花か玉すだれ
玉簾は、ヒガンバナ科タマスダレ(ゼフィランサス)属の球根草。原産地は南アメリカ。日本には明治初期に渡来し、日本の風土に適応して半野生化した。花期は7月下旬から10月初旬頃まで。花は6弁花で、1本の花茎に1つだけ咲く。日中咲いて夜には花弁を閉じる。
別名に「ゼフィランサス」「レインリリー」がある。また、似た花に、ピンクの花の「サフラン擬き(もどき)」、黄色い花の「黄花玉簾(きばなたますだれ)=ステルンベルギア」などがある。
尚、渡来してまだ新しいせいか、玉簾を詠んだ句はほとんどないので参考句は割愛する。