■ 透けるとはシースルーとも蓮の花
( すけるとは しーするーとも はすのはな )
投句する俳句の在庫が少なくなってくると、いつも行くのが京都の植物園で、先週土曜日も行ってきた。最近は1~2週間に1回は行っているが、行くたびに咲いている花や姿が変化し、いつも新しい発見がある。
それでも一句ぐらいは詠もうと思い、最初に詠んだのが以下の句。
雨上がり仄かに透ける蓮の花
これも一句だが、何となく平凡に感じ、「透ける」に変わる言葉がないか少し考えた。ふと、「シースルー」という言葉が思い浮かび、それを中七に入れて詠んだのが本日の掲句である。
シースルーと蓮の花の配合が適切か、意味が通じるかどうか、何度か声出して読んでみたが、辛うじてOKと思い投句することにした。句意は敢えて言わないが、以下の説明も読んで適当に考えて頂きたい。蓮の花は夏の季語。
シースルーとは、ファッショう用語のシースルー・ルックとして知られた言葉。今はどうなっているのか知らないが、「透け透けルック」ということで、60年代後半に一時センセーションを巻き起こした。まだ若かりし頃だったので、どきどきしたことを思い出す。
因みに、蓮の花の句は意外と詠んでなく、過去に以下の句を詠んだに過ぎない。
濁りなき蓮にピンクのグラデーション
この句は、白から濃いピンク色へと色調を変える花姿に、得も言われぬ清らかさを感じて詠んだ句である。
蓮は、ハス科ハス属の多年性水生植物で、原産地はインド。(エジプト、中国という説もある。)花は早朝に咲き昼には閉じる。花期は7月~8月。現在は、様々な品種があるが、大きくは紅色・白色の花を咲かせる東洋産種と、黄色の花を咲かせるアメリカ産種の2種類に分かれるそうだ。
仏教では泥水の中から生じ清浄な美しい花を咲かせる姿が、仏の智慧や慈悲の象徴だとされる。また、「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という、日本人にも馴染みの深い中国の成句がある。
【蓮の花の参考句】
鯉鮒のこの世の池や蓮の花 (森川許六)
蓮の花咲くや淋しき停車場 (正岡子規)
黎明の雨はらはらと蓮の花 (高浜虚子)
天竺に女人あまたや蓮の花 (芥川龍之介)
舟道の桑名は蓮の花ざかり (長谷川櫂)