Quantcast
Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

やけっぱち起こすな屁糞蔓かな

$
0
0
■ やけっぱち起こすな屁糞蔓かな
                         ( やけっぱち おこすな へくそかずらかな )
 
知らない植物の名前を調べていくと、時々面白い名前に出合う。その中で特に酷い名前だと思ったのは、今日紹介する「屁糞蔓(へくそかずら)。酷い名前の植物は他にもいくつかあるが、これが東の横綱で、大犬の陰嚢(おおいぬのふぐり)が西の横綱といえるだろう。

イメージ 1その屁糞蔓が、7月中頃から咲きだし、今方々で見られる。本日の掲句は、その花を見て詠んだ句だが、よく腹が立った時や悔しい時に「くそっ」と呟くことを思い出して句にした。また、酷い名前が付けられた屁糞蔓に呼びかけた句でもある。屁糞蔓は灸花(やいとばな)ともいい、歴とした夏の季語になっている。

ところで、なぜこの名前がつけられたのかというと、その名の通り、酷い臭いがするからだそうだ。そこで、花や葉、茎などを摘み取り、揉んで何度も臭いを嗅いで見たのだが、普通の草の臭いがするだけで、それほど臭いとは思えない。

念のためネットで調べると、同じように臭さは感じなかったという記事がいくつもあった。ただその一方で、草を刈り取る時に、銀杏(ぎんなん)の実の腐った臭い、あるいはスカンクのおならの様な臭いだったという記事もあった。

因みに、屁糞蔓(灸花)に関しては、過去にも何句か詠んでいる。

   【関連句】
    ① 可愛くも屁糞蔓じゃ恥かしい
    ② 電飾のごとく光るは灸花 
    ③ 案外と屁糞蔓も艶めかし    
*艶めかし(なまめかし)

①は、この名前を初めて知って、可哀想な名前だなと同情して詠んだ句。②は、この花が他の草花の枝葉を伝って咲いている姿をクリスマスツリーなどの電飾に喩えて詠んだ句。ここでは電飾の絡みで別名の灸花を使った。③は、名前は酷いがしっかり見ると艶めかしいと詠んだ句。不思議なもので、酷い名前も慣れてくると、あまり気にならなくなる。

イメージ 2
 
屁糞蔓は、アカネ科ヘクソカズラ属の多年草。東南アジア、東アジアが原産地。花は、先が浅く5裂して平開した細長い鐘形の合弁花。花期は7月~9月。花言葉が「人嫌い」「誤解を解きたい」であるというのは頷ける。

尚、「屁糞蔓」には、別名として他に「早乙女花(さおとめばな)」がある。非常に上品な良い名前なのだが、「屁糞蔓」があまりにもインパクトが強いためか、この名で詠んだ句はほとんどない。

    【屁糞蔓、灸花の参考句】
     名をへくそかづらとぞいふ花盛り     (高浜虚子)
     野の仏へくそかずらを着飾りて      (石田あき子)
     雨の中日がさしてきし灸花          (清崎敏郎)
     表札にへくそかづらの来て咲ける     (飴山寛)
     灸花無数に咲けば疎まるる         (檜紀代)
*疎む(うとむ)
 
イメージ 3
 

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

Latest Images

Trending Articles



Latest Images