■芍薬 二句
○ 立ち並ぶ綺麗どころや芍薬園
( たちならぶ きれいどころや しゃくやくえん )
○ 芍薬や噂たがわぬ立ち姿
( しゃくやくや うわさたがわぬ たちすがた )
昔から、美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを形容する言葉として、「立てば芍薬(しゃくやく) 座れば牡丹(ぼたん) 歩く姿は百合(ゆり)の花」という言葉がある。
このうち牡丹の方は既に盛りが過ぎたようだが、それに代わるかのように芍薬が今最盛期を迎えつつある。先日行った植物園の芍薬園にも、いろいろな種類の芍薬が植えられていたが、色、形、大きさなど、いずれも美花という感じである。掲句は、そんな芍薬を見て詠んだ句である。
芍薬は噂通りの美人顔
芍薬は、ボタン科ボタン属の多年草。アジア大陸北東部の原産で、日本には薬用植物として平安時代頃に渡来したそうだ。
芍薬の名の由来は、姿がしとやかで美しいという意味の「綽約(しゃくやく)」からきたとの説がある。漢字の方は、漢方で使われる「芍薬」という文字が当てられたとのこと。
尚、巷間では、牡丹が「花王」と呼ばれるのに対し、芍薬は花の宰相、「花相」と呼ばれているそうだ。王と宰相では、やはり王の方が上ということになるのだろうか。この辺はよく分からない。
花期の方は、牡丹が4月から5月で、芍薬はその後の5月中旬~6月末頃というように時期がずれる。百合の方は更にもう少し後の6月から8月頃。
【芍薬の参考句】
芍薬の蕾の玉の赤二つ (前田普羅)
芍薬にはねたる泥の乾きゐる (富安風生)
芍薬や棚に古りける薬箱 (水原秋桜子)
芍薬の赤き花辮白き蕋 (高野素十)
芍薬の咲ける井ありて水を乞ふ (篠田悌二郎)
芍薬の蕾の玉の赤二つ (前田普羅)
芍薬にはねたる泥の乾きゐる (富安風生)
芍薬や棚に古りける薬箱 (水原秋桜子)
芍薬の赤き花辮白き蕋 (高野素十)
芍薬の咲ける井ありて水を乞ふ (篠田悌二郎)