■ もじゃもじゃのなんじゃもんじゃが雪のごと
( もじゃもじゃの なんじゃもんじゃが ゆきのごと )
「なんじゃもんじゃ」とは、一葉たご(ひとつばたご)という植物の異名である。明治時代、東京の青山練兵場(今の明治神宮外苑)の道路沿いにこの木があり、名前がわからなかったので 「何の木じゃ」とか呼ばれているうちに、 いつのまにか「なんじゃもんじゃ」という名前になったそうだ。
掲句は、そんな「なんじゃもんじゃ」を見て詠んだ句である。上五の「もじゃもじゃ」は、花のイメージと名前との語呂合わせ。下五の「雪のごと」は、遠くから見た印象。尚、「なんじゃもんじゃ」は「ひとつばたご」とともに夏の季語になっている。(季語にしていない歳時記もある。)
因みに、過去には以下の句を詠んでいる。
お社でなんじゃもんじゃも神さぶる
これは、京都の上賀茂神社境内で見た時に詠んだもの。神さぶる(かむさぶる)とは、口語で神さびる(かみさびる)。「古びて神々しく見える。荘厳で神秘的である。」という意味。(昨日、京都では同神社が主催する葵祭があった。)
「なんじゃもんじゃ(の木)」こと「ヒトツバタゴ」は、モクセイ科ヒトツバタゴ属の落葉高木。原産地は、日本、朝鮮半島、中国。開花時期は4月末~5月中頃。環境省のレッドデータブックで「絶滅危惧種2類」に指定される希少木だそうだ。
尚、地方によっては、「くすのき」「あぶらちゃん」「かつら」「菩提樹」等に「なんじゃもんじゃの木」という異名がつけられているそうだ。