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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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土手っ原独り占めして金鳳花

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■ 土手っ原独り占めして金鳳花
           ( どてっぱら ひとりじめして きんぽうげ )
 
近くの疏水べりの土手に草が萌え始めたのは3月初頃だったと思うが、それからおよそ2ヶ月経過し、土手は野草の葉と花で覆われている。ただ、その様子を子細に見れば、必ずしも一様でなく、様々な野草が鎬(しのぎ)を削っているのが分かる。野草の世界で生きていくのも決して楽ではなさそうだ。

イメージ 1そんな中、ある土手の一画で、金鳳花(きんぽうげ)が群生し、一面を覆っているのを見た。ここは多分、金鳳花が他の草との戦いに勝って、支配権を獲得した領域なのだろう。小さい黄金の花が隙間なく燦々と輝いていた。

本日の掲句は、その景を見て詠んだ句である。上五の「土手っ原」とは「土手の原っぱ」の意だが、「土手っ腹に風穴を開けたる」というヤクザ言葉を思い出して使ってみた。少々品に欠けるが、土手では、今まさに「仁義なき戦い」が繰り広げられている。金鳳花は春の季語。

因みに昨年は、金鳳花が日光に照り輝く様子を以下のように詠んだ。

  草茂る土手燦々と金鳳花

金鳳花は、キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草。花期は4~6月。全草に強い毒性があるとのこと。 「金鳳花」という名前は、「金色の鳳(おおとり)」に喩えたもので、文字からすると、とても荘厳な感じがするが、もともとは八重咲のものだけを称したそうだ。

一重のものは、別名で「馬の足形(うまのあしがた)」 というが、根ぎわから出ている葉っぱの形が、馬の足の形に似ていることからこの名がついたとのこと。それにしても、この二つの名前の落差は大きすぎる。

因みに、同じ仲間で様々な色の八重の花を咲かす「ラナンキュラス」は、和名で「花金鳳花(はなきんぽうげ)」と呼ばれている。

    【金鳳花(華)の参考句】
     金鳳華踏絵も光さびにけり        (水原秋桜子)
     ぬれるだけぬれてきたきんぽうげ    (種田山頭火)
     水引いて畦縦横や金鳳華        (原石鼎)
     島の陽の刻々強し金鳳華        (中村汀女)
     金鳳花明日ゆく山は雲の中       (飯田龍太)
 
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